tatsuro_performance2015
『山下達郎 PERFORMANCE 2015-2016 40th Anniversary』ツアー・スケジュール64本の1/4消化(=16本目)にして初の東京公演2日目@中野サンプラザ に参戦してきた。相変わらずのハイ・クオリティ、微動だにしない安定感。歌に関しては、62歳になった今も30代の頃と変わらないコンディションを維持しているというから、本当に頭が下がる思いだ。

例によってセットリスト掲載は先送りさせて戴くが、MCでも言ってた通り、周年記念ツアーらしい明るい曲ばかりが選ばれている。ヘヴィーな曲がない分、通常ツアーよりもスピード感があって爽快な印象。でもそれはあくまでセレクションが主な理由で、フル・ヴォリューム、約3時間半の充実感に変わりはない。ただジックリ聴かせるというよりは、いつも以上に軽やかに駆け抜けていく感覚があるのだ。

当然ながら、40周年記念盤が出たばかりのシュガー・ベイブ『SONGS』からは、やや多めのチョイス。
「20年前の“Sings Sugar Babe”の時は、もうこんなにシュガー・ベイブ時代の曲を演ることはないだろうと思ったんですが、まだこうして歌っている。それも偏に皆さんのお陰」

それでも「この曲はホントにコレが最後でしょう」と語って始めたラテン乗りのパーティ・ソングでは、佐橋佳幸を大フューチャー。2人のギターの掛け合いも、達郎さん、メチャ楽しそうだったなぁ〜。…っていうか、いつも真剣勝負でステージに立っている氏が、こんなにたくさんの笑顔を見せるツアーは、自分が知っている限り初めてという気がする。アカペラ・コーナーで1曲1曲歌い終える度に見せるドヤ顔と嬉しそうな顔は、もうファンにはお馴染みだけれど…。サハリンはちょうど『佐橋佳幸の仕事(1983-2015) 』を出したばかりというタイミングなので、アコギ片手の短いインスト・コーナーも。今ツアーから女性コーラス2人が新加入し、バンドの平均年齢が下がったが、その一方のハルナ嬢はシュガーの曲でフィーチャーされた。

個人的には、アカペラ・コーナー前の前半がツボ。かつてのRCA/AIRイヤーズ・ツアーや前回のマニアック・ツアーを髣髴させるナンバーの数々に、MOON初期の楽曲を織り交ぜた流れで、久しぶりの曲も多く歌われた。『GO AHEAD』以来の達郎ファンとしては、無条件で反応してしまうセット。基本としては比較的オリジナルに忠実なアレンジ/構成の楽曲が多い達郎さんライヴだが、いくつかの曲ではメンバーの演奏をたっぷり披露すべく、長〜いソロ・パートを設ける。特に圧巻はサックスの宮里陽太。彼もソロ2作目『COLORS』を出したばかりで、エグゼクティヴ・プロデューサーの達郎氏は、パネルを掲げて宣伝マンと化していた。定例の洋楽カヴァー曲は、「ベタですよ!」と照れ隠ししつつ、取り上げるタイミングを見計らっていたかのような、狙い澄ました有名曲。

アカペラを挟んではライト・タッチなシングル曲の攻勢が続き、お約束の終盤へ。定番曲に乗って往年の名曲を歌い継ぐラストのヒット・パレード・シーンでは、『SONGS』再発もあってか、今回はナイアガラ・トリビュート的な意味合いが込められていたようだ。

前日の東京初日ではエヘン虫が出て、喉の調子が今イチ優れなかったそうだが、今日は絶好調とのこと。そのためアンコールでは、難易度が高いというシュガー・ベイブ時代への思いを自ら綴ったあのバラードを、ギター弾き語りで初披露。最後は盤石のアカペラ・バラードで締め括った。

山下達郎62歳、まさに絶好調のツアー序盤。来年の達郎さんは、ツアー終了後にニュー・アルバムに取り掛かる予定だそうだ。

そういえば、達郎氏をサンプラザで観るのもコレが最後か!? と思っていたら、オリンピックが終わるまでは現状維持が決まったらしく…。ホール不足が懸念される2016年問題への対応も然ることながら、運営面での足枷だったホテル経営が、中国人観光客の来日ラッシュで好調に転じたのが最大の原因とか。何事にも極端な国民性ゆえ、爆買いブームも一過性なのは明らかだが、中には意外な貢献もあるようです…。