benny sings_studio
そうですかッ、前作『ART』からもう4年経ってましたか。…というワケで、オランダのポップ・マエストロ:ベニー・シングスの5作目。この人の場合、プロデュース・ワークもあるし、『ART』のあとにベスト盤も出ていたから、それほどお久しぶり感はない。カナザワ的には、2年ぶりぐらいの感覚。もっと言ってしまうと、『ART』発表後に観た2度のライヴが今イチ盛り上がりに欠け、「アァ、この人はやっぱりスタジオの人だなぁ」と実感していた。そうしたら、今度の新作は、ズバリ『STUDIO』ですと もしかして、ベニー自身もそれを自覚したのかな。

すると、ベニーはシッカリ本領発揮。生音感覚のグルーヴを下敷きにしたプログラム・サウンドで、ポップ職人らしいアルバムが完成した。コルグのTRITONというシンセサイザーとの出会いが彼の創造力をイタく刺激したそうで、白玉の鍵盤はもちろん、ピアノ系やベースの音色まで よりカラフル。シンセ・ドラムやヴォコーダー使いなどは おおよそ80'sっぽい作りだが、それを自分一人で簡単に演れることが重要だったのだろう。楽曲によっては、ちょっとラー・バンドを髣髴させたりも。

当然、ダフト・パンク、ブルーノ・マーズ、マーク・ロンソンらによる80'sのブギー・スタイルは横目で見ているワケで、ゲストにはタキシードのメイヤー・ホーソーンが参加。<Shoebox Money>でフィーチャーされている。これは、メイヤー自身もゲスト参加しているボビー・コールドウェル&ジャック・スプラッシュのユニット:クール・アンクルにも通じる、フューチャー・アーバン・ブルー・アイド・ソウル。コーラス部分はマイケル・マクドナルドのスモーキーな歌声を意識したかのようなニュアンスさえ窺える。もともとベニーは、ボビーやマイケル・フランクスをお気に入りに挙げていたくらいだからAOR的感覚は強いのだが、今作は個人的に2nd『I LOVE YOU』(05年)以来の愛聴盤になりそうな予感。

日本盤には、話題のceroとの共演曲をボーナス収録している。リリースと同時に来日公演があって、そのceroや土岐麻子と一緒にステージに立ったはずだけど、ショウでは進化を見せたのだろうか?