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忘年会からの帰り、タクシーから降りて寒空を見上げた時、何となく頭に浮かんだのが、冒頭<I Do What I Like>の印象的なスキャット。クリスマスから正月にかけての年末年始の頃、街の喧騒から離れた場所で凛とした空気に包まれていると、何故かケルトっぽい音が聴きたくなる。そんなタイミングでエンヤとかコアーズの新作が届くということは、みんな同じような気分を抱いている、ってコトなのかな?

このコアーズは、アイルランドは ダンドーク出身のコアー家4兄妹によるファミリー・グループ。母国のトラディショナル・ソングをカヴァーした『HOME』以降、それぞれが家庭最優先となり、リード・シンガーのアンドレアやヴァイオリンのシャロンが合間にソロ作を出していたが、このたびグループにとって10年ぶりとなる5枚目のオリジナル新作『WHITE LIGHT』を発表した(『HOME』を数えると通算6作目)。

95年のデビューがデヴィッド・フォスターのバックアップだったことから、真っ先にAORファンに注目されたコアーズ。とはいえ音は決してAORではなく、そこでの賛否は割れ気味だった。それでもコンテンポラリーなポップ・スタイルにケルト・ミュージックのエッセンスを混ぜ込む手法は新鮮で、カナザワも愛聴したのを思い出す。きっと北国カナダに生まれたフォスターも、その辺に激しく刺激されたにはずで、初のビッグ・ツアーがセリーヌ・ディオンの前座だったのも頷けるところ。その後彼らはメキメキ出世し、世界的人気アーティストに。それでも母国の伝統歌を歌ったり、家族を大事にするアイルランド人らしさを失わないところが、コアーズならではの魅力だろう。

新作プロデュースは、ボン・ジョヴィで有名なジョン・シャンクス。最近ではヴァン・ヘイレンやテイク・ザットなども手掛けているが、実は女性シンガー系は得意とするところで、スティーヴィー・ニックスやシェリル・クロウ、アラニス・モリセット、マイリー・サイラス、レオナ・ルイス、ジェシカ・シンプソン等などを以前から手掛けていた。今回、メンバーやシャンクスと1曲ペンを取っているナターシャ・ベディィングフィールドも、そうした一人。楽曲的にも好曲が揃っていて、アルバムの完成度もなかなか。デビュー時から不変のコアーズらしいメロディを甦らせつつ、現在進行形のポップ・シーンにフィットしそうなリズム・コンシャスなナンバーも提示する。もちろんケルティックなセンスもシッカリ窺わせて、アンドレアのクリアな歌声とファミリー・グループならではの緻密なハーモニーをフィーチャーしている。とにかく、長いブランクからの復帰作とはとても思えぬ充実度だ。

長期の活動休止が祟ってか、カムバックしたのが今イチ浸透してない気がするけど、かつてのコアーズに魅せられた方々は、是非チェックを。