lucas arruda 2
カナザワが解説を寄稿しているブラジリアン・レア・グルーヴ・マスター:エヂ・モッタのニュー・アルバム『PERPETUAL GATEWAYS』も無事発売されたようで、こんなインタビュー記事も紹介されているけれど…。その新作ジャケから連想したのが、同じブラジリアンなレア・グルーヴ系ニュー・カマー、ルーカス・アルーダ。ちょうど某コンピレーションの選曲仕事もあって、この辺の新し目なメロウ・グルーヴを聴き漁っていたのよ。

ルーカス・アルーダは、昨年リリースの『SOLAR(ソラール)』が2作目となる新人のマルチ・プレイヤー。音的にはアジムスやアイアート&フローラ・プリム、マンフレッド・フェストあたりを髣髴させるブラジリアン・クロスオーヴァーで、一時期のマルコス・ヴァーリやジョアン・ドナートらにも近い。前作ではアイズレー・ブラザーズ<Who That Lady>のカヴァーを演っていて、国内盤にはスティーヴィー・ワンダーやカーティス・メイフィールドに捧げるボーナス曲を収め、早耳の好事家やレア・グルーヴ・フリークの間で話題になっていた。

ルーカス自身はフェンダー・ローズのマニアだそうで、ココでもなかなか気持ちの良いトーンでローズ・ピアノを弾き倒している。ブラジリアン・フュージョンでエレピといえば、真っ先にアジムスの故J.R.ベルトラミを思い出すが、本作にはそのアジムスのベース:アレックス・マリェイロスが参加。更にリオン・ウェアが2曲ヴォーカルを取っていて、1曲はスタイリスティックスのフィリー・ソウル・クラシック<Stop, Look, Listen>だったりする。デュエット相手のギーダ・ヂ・パルマは、ロンドンで活躍するポルトガル人シンガーで、ジャジーニョの歌姫としてお馴染み。ルーカスや兄のドラマー:チアゴ・ルーカス、それにエヂらは、それぞれに彼女と深く関わっているそうだ。その他、ウクライナ出身で現在は北欧フィンランドを拠点にするサックス奏者アンドレ・ソロンコがソプラノを吹く楽曲も。

何だか、こうしたラインナップだけで素敵な音が聴こえてきそう。メロウ・グルーヴはもちろんだが、ブギーあり、AORあり、ジャズ・ファンクあり、アーバン・ソウルもあり…。この紺碧の空の色は、我々の耳を裏切りません。