george martin
ジェリー・ベックリー(アメリカ)の原稿を書いていたら、プロデューサー:ジョージ・マーティンの訃報が飛び込んできた。5人目のビートルズ、との呼び声も高い名匠。享年90歳で、死因は明らかにされていない。62年にデッカのオーディションに落ちたビートルズのデモ・テープを聴き、新しいサムシングを感じて、EMI傘下のパーロフォンに彼らを迎えたのがマーティン。その後はプロデューサーとして彼らを育て、空前の成功へ導いた。

ビートルズの音楽性の幅広さは、このマーティンの音楽知識の豊富さによって育まれた部分が大きい。ポールが書いた<Yesterday>をアコースティック・ギターの弾き語りにし、弦楽四重奏を加えたのは、まさにマーティンのアイディア。4人のメンバーの中でも、天才メロディ・メイカーであるポールを手なずけられるのは、ロジックに強いマーティンだけだったのかもしれない。ポールも彼には一目置いていて、解散後も断続的にコラボレイトを行なった。

ビートルズやアメリカの他にもジェフ・ベック、ジミー・ウェッブ、アメリカン・フライヤー(エリック・カズ)、チープ・トラック、リトル・リヴァー・バンド、ケニー・ロジャース等などをプロデュース。モンセラット島とロンドンにあった有名なエア・スタジオのオーナーでもあった。96年にナイトの称号を授けられ、サーと呼ばれる立場に。97年、ダイアナ妃を追悼したエルトン・ジョン<Candle In The Wind '97>が英チャートで30曲目のNo.1ヒットになり、翌年第一線を引退。その際の集大成作品として制作されたのが、全曲ビートルズ・カヴァーによる この『IN MY LIFE』だった。

収録曲/アーティストは以下の通りだが、ロックやジャズもあればクラシックも…と、マーティンの面目躍如。<The Pepperland Suite>はまさに映画『イエロー・サブマリン』のサントラの世界だし、フィル・コリンズの<Abbey Road Medey>は、ビートルズというよりポールのライヴ・ヴァージョンにそっくりだ。ジェフ・ベックのライヴ定番<A Day In The Life>は、実はコレがオリジナル。

1. Come Together – Robin Williams & Bobby McFerrin
2. A Hard Day's Night – Goldie Hawn
3. A Day In The Life – Jeff Beck
4. Here There & Everywhere – Celine Dion
5. Because – Vanessa Mae
6. I Am The Walrus – Jim Carrey
7. Here Comes The Sun – John Williams
8. Blackbird - Bonnie Pink
9. Being For The Benefit Of Mr. Kite – Billy Connolly
10. The Pepperland Suite – George Martin
   Pepperland〜March Of The Meanies〜Sea Of Monsters〜Pepperland (Reprise)
11. Golden Slumbers, Carry That Weight, The End – Phil Collins
12. Friends And Lovers – George Martin
13. In My Life – Sean Connery

ビートルズ周りのアーカイヴは、既に、このアルバムのコ・プロデューサーでもあった息子ジャイルズに引き継がれているけれど、やはりサー・ジョージが後ろに控えていたからこそ、我々も安心してアーカイヴの仕事を眺めていた気がする。EMIが消滅し、ビートルズの生き残りも、もうポールとリンゴだけ。そして今度はジョージ・マーティンが逝去。確実に時間は流れている…。

Rest in Peace...