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イベントの急告。最近はAKB48のヒット曲を数多く手掛けていることでお馴染みの井上ヨシマサが、作曲家として名を上げる前、87年にリリースした初ソロ・アルバム『JAZZ』が、HMV限定で3月23日にリイシューされた。その発売記念イベントとして、当人: 井上ヨシマサ氏のトーク・イベント&サイン会が開催決定。再発盤の解説を書いたカナザワがお相手を務める。

■ 日時:2016年4月10日(日)15:00〜16:00
■ 場所:HMV record shop 渋谷 1F

当日は、井上氏がピックアップした作品を実際にかけながら、“影響を受けた洋楽アルバム” にまつわるトークを行なう。

『JAZZ』とマニアックに聞こえるかもしれないが、彼とってはルーツそのもの。と同時に、50年代のジャズは大衆音楽だったという認識があった。そして何より、以前在籍していたバンドでやり残したことでもあったのだ。

彼が在籍していたのは、YMOの日本武道館公演でオープニング・アクトを務めたコスミック・インベンション。当時彼はまだ中学生だった。NHK『みんなのうた』で有名なテクノ・ポップ黎明期の人気曲<コンピューターおばあちゃん>も、オリジナルは彼らである。グループとしてはシンセ・オーケストラ的な方向を目指したかったらしいが、様々な事情から歌モノ中心にならざるを得なかったらしい。

そこでこのアルバムでは、アレンジャーに清水信之を迎え、原信夫とシャープス・アンド・フラッツをはじめ、日本が誇るスタジオ・ミュージシャンが数多く集結。“ジャズ” をポピュラー・ミュージック的視点から捉え直し、80年代のブラック・コンテンポラリー、AOR、ボサノヴァなど、彼が通ってきた音楽スタイルを完全消化したJAZZ歌謡アルバムの傑作になっている。でもそこは加藤和彦の右腕となり、“ひとりYMO” とも称されたクセ者:清水信之。粋にスウィングするビッグ・バンド・ジャズの後ろでシンセ・ベースがウネり、その隙を窺うようにしてサンプリングしたオーケストラ・ヒットがぶちカマされる。ひと口に言ってしまえば、打ち込みビートにジャズを乗せた異形のビッグ・バンド歌謡。とにかく両人の音の遊びが凄まじく、彼らがやんちゃにスタジオ・ワークを楽しむ姿が目に浮かぶのだ。

ちなみに参加ミュージシャンは、今剛、松原正樹、岡沢章、岡沢茂、高水健司、富倉安生、渡嘉敷祐一、村上秀一、山木秀夫、島健、浜口茂外也、ジェイク・H・コンセプション、包国充、土岐英史など超豪華。小泉今日子への提供曲をセルフ・カヴァーしてもいるが、そこに作詞で関わる ”美夏夜” は、実はキョンキョン自身のペンネームだ。

でもこうした華やかさは、あくまで表向き。作品の本質は、井上の類い稀なメロディ・センスにある。だからこそ今日の彼の成功があるのだ。今週末のトーク・イベントでは、彼のかつての愛聴盤からその魅力の秘密を探りたい。

お時間のある方、井上氏のファンは、奮ってお集まりくださいな。

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