al stewart_cat
ドタバタの連休の中、アル・スチュワート@Billboard Live Tokyo 2days の2日目、2nd Showへ。“愛の吟遊詩人” とか “英国フォーク・ロックの新星” みたいに言われた彼も、何ともうすぐデビュー50年。最近じゃAORのカテゴライズに入られることも多く、「ちょっと違うよなぁ〜」と嘆きつつも、この76年の代表作『YEAR OF THE CAT』あたりになると、なるほどホンノリ共通項を感じたりする。クリス・レア、ジェリー・ラファティー、クリス・レインボー辺りを真ん中に置けば、ほーら、みんな地続き。プロデュースはアラン・パーソンズだし、バック・コーラスにはデヴィッド・パック(当時はアンブロージア)が参加しているしね。

ファン・サイトの記述によれば、91年にピーター・ホワイトと来て以来、25年ぶりの来日とか。近年は英国ロイヤル・アルバート・ホールでピーターやティム・レンウィック(g)、ステュアート・エリオット(ds)らを従えてライヴをやっていたから、思わず『YEAR OF THE CAT』再現ツアー的なモノを期待してしまうが、今回はほとんど弾き語りツアーの風情らしく、アカンパニストはサックスのマーク・マキッソただ一人だ。それでも齢70にして久々の来日だから、観ない手はないだろう。

ヴェニューに入ると、ステージの上には複数のマイク・スタンドとパーカッション類が置かれているだけで、スペアのギターさえなく…。それでも、フォーク仕込みでジャンゴ・ラインハルトあたりにも影響を受けたギター・プレイに定評ある人だから、要らぬ心配だろう。ライトが落ちるとアルがひとりでギター片手にステージに上がり、小手調べ風にまず1曲。次いでフルートを持ったマーク・マキッソを呼び込み、カジュアルなショウが幕を切った。

2人きりのパフォーマンスなので、実は少しタルい部分も覚悟していた。が、このマークがアルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルート、ハーモニカ、そして時にパーカッションやコーラスも、と、実に芸達者。アルの右、今度は左と歩き回ってポジションを変えながら、アルの弾き語りに豊かな表情を付けていくく。ユーモアを交えても、どこか英国紳士的佇まいを崩さないアルに対し、彼は垣根が低くて人懐っこい感じ。少々フィル・コリンズっぽいかな? <Fever>ではアルがバックステージへ引き、マークひとりに。すると打ち込みのジャズ・グルーヴが流れ、それに乗ってフルート、サックス、そして味わいのあるヴォーカルを披露した。彼の貢献なくしては、アル久々の日本公演も成功して
なかっただろう。

やがて、少しもったいをつけるようなイントロで、<Year of the Cat>がスタート。間奏では、サックスを手にしたマークがフロアに降りてオーディエンスの間を練り歩き、ファンも大盛り上がり。やっぱり全米トップ10ヒットの威力はスゴイ。

ふと気づけば、日本で人気の初期作『ORANGE』からは演らず終い。もっともカナザワも『YEAR OF THE CAT』や『TIME PASSAGE』の人なので、あまり気はならなかった。そういえば、昨年その2枚がワーナー・ジャパン【新・名盤探検隊】でリイシューされたのに続き、アルの70〜80年代作が続々復刻されている。実はセットリストでも馴染みのない曲が多かったので、改めてジックリ聴き直さねば。

1. House of Clocks
2. Antarctica
3. Flying Sorcery(空飛ぶ魔法)
4. The Palace of Versailles (ヴェルサイユ宮殿)
5. On the Border(スペインの国境で)
6. Night Train to Munich
7. Time Passages
8. Gina in the King’s Road
9. Midas Shadow(マイダスの影)〜Fever
10. Katherine of Oregon〜Broadway Hotel
11. Warren Harding
12. Soho (Needless to Say)
13. Year of the Cat
— Encour ---
Almost Lucy