bobby whitlock
昨日に続き、ユニバーサルの再発シリーズ【名盤発見伝】から。ただしコチラは2月末に発売されたアイテムで、カナザワも即ゲットしたものの、紹介のタイミングを失っていた。しかも世界初CD化! こりゃどーもスミマセン…。

さてこのボビー・ホイットロックは、エリック・クラプトンが率いたデレク&ザ・ドミノスのkyd奏者。つまり、かの名盤『いとしのレイラ』を生み出した一人だ。メンフィス生まれで、チェロキー族の末裔。エクゾチックな顔立ちは、その血筋から来たのだろう。10代終わりから地元レーベル:スタックスのスタジオに出入りし、68年にスタックスの傍系レーベルからシングルを出したのがレコード・デビュー。翌年デラニー&ボニーの1st『HOME』のセッションに参加し、デラニー・ブラムレットに目を掛けられるようになって、そのままデラニー&ボニー&フレンズの一員となった。そこからレオン・ラッセルやジョージ・ハリスン、そしてエリック…と親交を広げていくが、特にエリックはボビーの作曲能力を高く買っており、『レイラ』では5曲を共作している(+ボビー単独作1曲)。

しかしながらエリックとジム・ゴードンの確執が元で、ドミノスは1年ほどで呆気なく解散。エリックが廃人みたいは暮らしぶりへ落ちていくのを尻目に、ボビーはABC/Dunhillから2枚のソロ・アルバムを発表。その後オールマン・ブラザーズ・バンドを擁するキャプリコーンへ移籍し、75年にこの3rdソロ『ONE OF A KIND』をリリースした。ゲスト陣にディッキー・ベッツ、チャック・リーヴェル、ジェイモーとオールマン勢が並ぶのも、ボビーを迎えたキャプリコーンの意気込みの表れだろう。コア・メンバーを務めるT.J.ティンドールは、ボニー・レイットのバックなどで活躍したギター弾き。<Rocky Mountain Blues>でブルージーなスライド・ギターを披露するドゥルー・ロンバーは、オールマンズの弟的存在としてデビューしたグラインダー・スウィッチのメンバーだ。

元々熱量の高いソウルフルなヴォーカルで知られるボビーなので、その濃ゆい歌いっぷりはココでも健在。オルガンの名手として知られるけれど、実際はギターもジャカジャカ弾いていて、オープニングの<Movin' On>や<Free And Easy (Way Of Lovin' You)>あたりは、まるでスタイル・カウンシルだ。ポール・ウェラーが意識してたかどうかは知らんけど、それだけソウルフルってコトです。

ちなみに、76年の4thソロ『ROCK YOUR SOCKS OFF』も同発され、こちらは89年以来となる久々のCD化。DunHill発の初期2作は、もうそこには権利がなく、ボビーが自主制作した2in1『ボビー・ホイットロック・ストーリー(WHERE THERE'S A WILL, THERE'S A WAY 〜 The ABC-DUNHILL Recordings)』として陽の目を見ている(アナログのみオリジナルのフォーマットで復刻)。