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今日も今日とて、ソニーの廉価盤企画【クロスオーヴァー&フュージョン・コレクション1000】第2回発売分から。ほとんど回し者状態だが、今回は自分が解説を書いてないアイテムから、「おぉ、よくぞ出してくれました!」という初CD化作品を紹介して、打ち止めにしよう。そのタマは、ジャズ・ピアニストの佐藤允彦率いるメディカル・シュガー・バンクの2作品。

佐藤は日本で4人目のバークリー音楽院留学生(秋吉敏子、渡辺貞夫、荒川康夫に続く4人目)で、68年にソロ・デビュー。“日本のチック・コリア” と謳われ、チックと同じコンテンポラリー・ジャズはもちろん、フリー・ジャズ、実験的ビッグ・バンド、準邦楽とのコラボレイト、そしてポップスや歌謡曲、映画やドラマの劇伴、CMなど、実に多彩な活動を行ってきた。その佐藤が、79年に新進気鋭の若手ミュージシャンと結成したフュージョン・ユニットが、このメディカル・シュガー・バンク。通称:MSBと呼ばれるが、元々コレはMasahiko Satoh Bandの略称であって、そこに新しい名前を当てはめたらしい。もちろん「佐藤〜砂糖〜SUGAR」をキーワードにして。

この新グループ結成には、彼が79年に川崎燎やハーヴィー・メイソン、デイヴ・リーヴマンらと作った『ALL IN - ALL OUT』を、日本人の手で進化させる目論見があったとか。ピアノ・メインのイメージを持つ彼が、最も電子楽器に接近し、同時にクロスオーヴァー/フュージョンに対峙したのが、この80年前後である。その時のメンバーは清水靖晃(sax)、高水健司(b)、山木秀夫(b)、穴井忠臣(perc)。そこでパッと思い浮かぶのは、渡辺香津美のKAZUMI BANDだ。『TO CHI CA』からの流れといい、バンドの顔ぶれといい、共通点は極めて多い。

…というか、香津美が佐藤の後を追っている印象があり、MSBが『TWO』を出して発展的解散を遂げたあとを香津美が引き継ぎ、kydに笹路正徳を入れて、よりロック化/マライア化した形と言える。これぞ換骨奪胎。中心人物が変わり、リード楽器が鍵盤からギターになったので当然同じ音ではないが、メンバー間の有機的繋がり、バンドが進むベクトルは ほぼ同一線上にある。J−フュージョンの最も理想的なバンド・フォーマットの一形態が、ココにあった。

ちなみにこのMSBの2作は、以前オーダー・メイド・ファクトリーの候補に挙げられながら、必要最低予約数に達せず、初CD化が見送られてきた。それがこうしてサラリと廉価盤で普通にリイシューされる。リスナーにしてみれば、3000円前後のフル・プライスじゃ手が出ないけど、1000円なら喜んで…、というタマは少なくない。今回のシリーズは、ナベサダやプーさん(菊地雅章)、ヒノテルなど、邦・洋の垣根を越えてフュージョン名盤を復刻した点もミソだな。