clapton_i still do
クラプトンの新作『I STILL DO』、ポチッたつもりがカートに入ってなくて入手が遅れたものの、ゲットしてからすぐにリピート状態。世間的には既定路線とかマンネリと言われつつも、なかなか好評なようで。でも、そんなモンじゃないんじゃない? それこそカナザワ的には、ここ10年くらいの最高傑作のように思える。

前作『THE BREEZE』は、亡くなったJ.J.ケイルのトリビュート作なので、少々ニュアンスが違うけど、自分はその前の『OLD SOCK』(13年)にどうも馴染めず。クラプトンにしては、何だか妙に明るすぎる気がしちゃうのだ。レゲエに逸早く注目して、ボブ・マーリィーが世界的アーティストになるのを手助けしたクラプトンだけど、自分の中では、当時のレゲエと能天気なラヴァーズ・ロックが相容れないのと似た感覚がある。

確かに大きなベクトルとしては、ここしばらく同じ方向を向いていると言えるだろう。でもこの新作では、ゆる〜い中にも静かに意欲を燃やしている感じが伝わってくる。『OLD SOCK』にはなかったオリジナルの書き下ろしが2曲あったり、バックを英国人ミュージシャンで固めたり、タイトルが意味深だったり…。プロデューサーに『SLOW HAND』(77年)以来のグリン・ジョーンズを迎えたのも、その表れだろう。投げ込みのインサートは、まさに『SLOW HAND』の見開きと同じ、ピンナップの貼り合わせ。レコーディング・スタジオは、マーク・ノップラーが作ったブリティッシュ・グローヴだ。このスタジオは、アナログ・システムにこだわりつつ最新テクノロジーも融合させて、という方針を持っている。

ブルースやスタンダードが中心で、激しいギターはもう弾かない。そこはずっと一貫している。ロバーロト・ジョンソン、ボブ・ディランらのカヴァーに、ビリー・ホリデイも歌ったオールド・チューン。『THE BREEZE』でやり残したか、J.J.ケイル作品も2曲ある。でもその空気感は、何処か名盤『PILGRIM』(98年)に似ている。あのアルバムは打ち込みを多く導入したせいか、穏やかさの中に心地よいテンションが潜んでいたが、それを今回は英国産バンド・サウンドで構築したか。そこへ唯一USから招かれたアメリカーナ系マルチ奏者ダーク・パウエルが入って、アコーディオンやフィドル、バンジョー、マンドリンなどを乗せるから、余計に味わいが増している。

ちょっとググったら、このアルバムのアナログ盤は、45回転の重量盤2枚組でのリリースとか。うわ、クラプトン、ちゃんと分かってるぢゃん