henry mccullogh
朝っぱらから訃報が相次いで飛び込んできた。まずは、プレスリーのプロデューサーとして知られ、メンフィスの伝説的スタジオ:アメリカン・サウンド・スタジオの設立者でもあったチップス・モーマンが13日に死去(享年79歳)。そして、ちょうどベスト・アルバム『PURE McCARTNEY』を出したばかりのポール・マッカートニーが率いたウイングスの初期ギタリスト:ヘンリー・マックロウ(マカロック?)も72歳で。ヘンリーは以前から闘病生活を送り、心臓発作で生死の淵を彷徨ったこともあったが、とうとう力尽きてしまった。

個人的に思い入れがあるのは、やはりヘンリー。最初に彼のギターを意識したのは、ご多分に漏れずウイングスの<My Love>だけど、ポールの曲であれほど印象的なギター・ソロは未だに生まれていない。参加期間が短く、アルバム『RED ROSE SPEEDWAY』とその前後のシングル、そしてその頃の英国/欧州ツアー程度しか関わっていないはずだが、ウイングス期では唯一といっていい職人肌のミュージシャン。『BAND ON THE RUN』のレコーディング前にバンドを抜けたのも、新曲のギター・フレーズを巡っての音楽的対立だったそうだ。天才ポールを相手に一歩も引かないあたりが、如何にも職人気質。その死を悼むコメントでポールは、「<My Love>で彼がプレイしたソロは、オーケストラの生演奏を前に彼が即興で創り上げた傑作だった。僕の家族から彼の家族へお悔やみ申し上げます」と語っている。

北アイルランド生まれで、まずはフォーク・バンドで活動。その後ジョー・コッカーと出会ってバックを務め、かのウッドストック(69年)にも出演している。そのバンドがグリース・バンドとなり、そこからウイングスへ。そしてポールと袂を分かった翌71年、ジョージ・ハリスンのレーベル:ダーク・ホースから、この『MIND YOUR OWN BUSINESS!(旅立ち)』を発表した。

参加メンバーはグリース・バンドの同僚アラン・スペナー(b)、ニール・ハバード(g)、ブルース・ロウランド(ds)、ミック・ウィーヴァー(kyd)に加え、フランキー・ミラー(vo)、ジョン・ハルセイ(ds / ex-PATTO)、ティム・ヒンクレー(kyd / ex-Vinegar Joe)。その内容はイブシ銀の英国スワンプで、カントリー・テイストもチラホラ。レゲエを取り込んだ楽曲もある。少々ヨレ気味の素朴なヴォーカルだって、何やら人柄を表しているよう。パブ人脈的にはブルーイ(インコグニート)がリスペクトするジム・マレン(Brian Auger〜Kokomo)にも近いけれど、マレンがジャズ寄りなのに対して、ヘンリーはカントリーということか。

決して桧舞台に立ちタイプではなかったが、ジワーッと噛み締めるような味わい深いフレーズがヘンリーの真骨頂。もう少し、キチンと語り継がれて然るべきミュージシャンだった。

Rest in Peace...