sweet
いやぁ〜、スイート、久々に聴きました。自分の中では、グラム・ロック的要素もある英国産パワー・ポップ・バンドというイメージが大きかった連中で、米国で言えばチープ・トリックあたりにも近い位置付けをしていた。けれど、紙ジャケ化で超久しぶりにアルバムを聴いたら、もっと複雑なバックボーンが透けて見えて、なるほど 思った以上に数奇なバンドだったな、と。

68年に結成されたスイートは、後にスージー・クアトロで有名になるソングライター・チーム:ニッキー・チン&マイク・チャップマンと出会ってティニー・ポッパー路線へ進んだのを皮切りに、グラム・ロック路線、ハード・ロック路線と少しづつイメージ・チェンジしながらヒットを重ねていった。だがメンバーたちの共作による<Fox On The Run>と<Action>が、75年に連続ヒット。独自にハード・ロック寄りのパワー・ポップを聴かせるようになっていく。この時それまでの総決算的に作ったのが、LP2枚組の『ANTHOLOGY』。その内容は邦題通りの『ライヴ&ベスト』だった(CDは1枚に集約)。そしてそれに続いたのが、最新ヒットをフィーチャーした この『GIVE US A WINK(甘い誘惑』)である。

カナザワとスイートとの出会いも、この<Fox On The Run>で。当時中学生だった自分が、ラジオの洋楽番組でこの曲を知ったのである。アルバムをフルに聴いたのは、何年か後になってからだと思うが、その時の記憶はない。

でも今回 改めて聴いてみて思ったのは、「あれぇ〜、こんなにクイーンしてたっけ?」というもの。<Action>のクイーンっぽさは当時も話題になった記憶があるが、他の曲もかなり…。もっとも楽曲や演奏はクイーンよりストレートだし、それこそ曲によってはチープ・トリックっぽかったりするが、サウンド・メイクの部分、ギターの鳴らし方とかヴォーカル・ハーモニーの重ね方、そしてアルバム全体のミックス感が、初期クイーンに極めて近いのだ。しかもアルバムを聴き進めていくと、リフがブラック・サバスだったり、ディープ・パープルだったり、あるいはフリーやバッド・カンパニーと、いろいろなシーンに出くわす。おぉ、ジェット・マシーンで音をひしゃげるのもパープルの影響か?なんて。

その辺りがパクリ上手ではなく、あぁ、いろいろなサウンド変遷でこうなったのね、と思わせちゃうのがスイート。リズムの重さと安定感、ヴォーカルのハイトーンと脂っこさが、彼らを単なるポップ・ロックには止めておかなかったのだろう。既に全盛期のメンバー4人のうち半分は鬼籍に入ってしまい、残った2人はそれぞれの名を掲げた別々のスイートで活動を続ける。何だかなぁ〜、と思うけど、やっぱり当時の音は今も新鮮で魅力的に響いてくる。この梅雨時に爆音で鳴らすと、スカッとするワァ〜

ちなみにこのアルバム、発売時ではUK、US、日本で微妙に収録曲が違っていて。<Fox On The Run>と<Action>両方が入っていたのは、日本盤だけだった。もちろん今回の紙ジャケは、その日本版に準拠。左目がくり抜かれたギミック・ジャケは、US盤仕様となっている。この頃のスイートはアルバムの中身が国ごとに違ってたりするので、アナログ盤で聴こうとするマニアな方は要注意。