ボズ・スキャッグス『SILK DEGREES』発売から40年。先般から紹介しているソニーさんの【AOR CITY 1000】、そして９月から展開されるワーナーさん【AOR BEST SELECTION 1300】と、ＡＯＲファンてんてこ舞いの2016年夏〜秋ですが、それに連動する形で、レコード・コレクターズ誌最新号の第１特集は『黄金時代のＡＯＲ』。不肖カナザワ、ご指名を受け、この特集を全面監修監修させて頂きました。
目次から紹介すると…
全米アルバム・チャートの2位に達し500万枚を超えるセールスを記録したボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』。AORを代表するこの名盤のリリースから40周年を迎えたこのタイミングでお送りする本号は、ブルー・アイド・ソウル的展開に焦点を絞った本誌1999年11月号の特集から視野を広げ、70年代半ばから80年代半ばまでという黄金時代の“本流"を明らかにします。
■ 特別対談(1)今が初めてなんですよね、AORがメインストリームの音楽とリンクしてるなって感じたのは (片寄明人×金澤寿和)
■ 特別対談(2)『シルク・ディグリーズ』のジャケがスーツ姿というのもアルバムの影響力を語る上で重要です (金澤寿和×吉成伸幸)
■ 黄金時代のAORアルバム選 ２２０枚 (選=金澤寿和）
西海岸周辺のアルバム
東海岸周辺のアルバム
部周辺のアルバム
■ “AOR CITY 1000/AOR BEST SELECTION 1300" 150タイトルの全貌
■ AORの隆盛にも多大な貢献をした演奏家集団TOTOの91年のライヴ映像が発掘 (舩曳将仁)
個人的な思いとしては、すでにチラリと書いているが、短期間にAOR名盤が大量に廉価復刻されるタイミングを捉えて、日本に於けるAORの定義を再構築したいな、と。リアルタイム世代にはプレイヤー思考のTOTO・エアプレイ支持派が多いけれど、実は彼らは主張が強かったり音楽的語彙が豊富なだけで、現実的には「TOTO・エアプレイはあまり…」と思いつつ、表向き何も言わないAORファンが少なくない。一方で90〜00年代以降の流れのまま、クラブ世代の勢いでブルー・アイド・ソウル系AORに偏ってしまうのも違和感がある。
そこで今回の特集では、『SILK DEGREES』誕生前からの流れを捉え、全盛期のAORシーンを俯瞰し、そこからAORのセンターライン、TOTO・エアプレイ派、ブルー・アイド・ソウル派それぞれの立ち位置を見直して戴けるといいな、と。近年ありがちな「ジャンル分けに困ったらとりあえずＡＯＲ」的な、何でもアリ感には警鐘を鳴らしつつ、“AORはジャンルではなくスタイル” というポリシーで、ボーダーラインに位置するタイプの作品は寛容でありたいと思っている。
そうした意図を抱きながらの、エリア別分析。分け方の基準そのものは様々ながら、計220枚のセレクトは中途半端なガイド本よりはるかにヴォリューミーだし、ちょっと意外なアイテム、マニア向けの隠し球も入っている。自分でいろいろ聴き直して発見が多かったのは、これまであまり語られなかった南部編。反対に今回はUKモノとかハワイものがスッパリ抜けて落ちているが、AORの音楽的進化のプロセスを考えたら、プライオリティが低くなるのは仕方のないトコロだろう。
ま、こうして形にすると、きっと様々な異論が出てくるだろうが、一番大事なのは、そうした違いを認め合うこと。まずは手に取ってお読みいただき、少しだけ、自分にとってのAORに想いを馳せていただけたら嬉しい。カナザワ的には、99年に刊行した角松本リニューアル、そして99年以来となるレココレ誌AOR特集と、自分の音楽ライター・キャリアがココでひと回りしている感がある。そうすると、後はやはり、ずーっとお待たせしているアレをやるしかないよなぁ〜。
全米アルバム・チャートの2位に達し500万枚を超えるセールスを記録したボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』。AORを代表するこの名盤のリリースから40周年を迎えたこのタイミングでお送りする本号は、ブルー・アイド・ソウル的展開に焦点を絞った本誌1999年11月号の特集から視野を広げ、70年代半ばから80年代半ばまでという黄金時代の“本流"を明らかにします。
■ 特別対談(1)今が初めてなんですよね、AORがメインストリームの音楽とリンクしてるなって感じたのは (片寄明人×金澤寿和)
■ 特別対談(2)『シルク・ディグリーズ』のジャケがスーツ姿というのもアルバムの影響力を語る上で重要です (金澤寿和×吉成伸幸)
■ 黄金時代のAORアルバム選 ２２０枚 (選=金澤寿和）
西海岸周辺のアルバム
東海岸周辺のアルバム
部周辺のアルバム
■ “AOR CITY 1000/AOR BEST SELECTION 1300" 150タイトルの全貌
■ AORの隆盛にも多大な貢献をした演奏家集団TOTOの91年のライヴ映像が発掘 (舩曳将仁)
個人的な思いとしては、すでにチラリと書いているが、短期間にAOR名盤が大量に廉価復刻されるタイミングを捉えて、日本に於けるAORの定義を再構築したいな、と。リアルタイム世代にはプレイヤー思考のTOTO・エアプレイ支持派が多いけれど、実は彼らは主張が強かったり音楽的語彙が豊富なだけで、現実的には「TOTO・エアプレイはあまり…」と思いつつ、表向き何も言わないAORファンが少なくない。一方で90〜00年代以降の流れのまま、クラブ世代の勢いでブルー・アイド・ソウル系AORに偏ってしまうのも違和感がある。
そこで今回の特集では、『SILK DEGREES』誕生前からの流れを捉え、全盛期のAORシーンを俯瞰し、そこからAORのセンターライン、TOTO・エアプレイ派、ブルー・アイド・ソウル派それぞれの立ち位置を見直して戴けるといいな、と。近年ありがちな「ジャンル分けに困ったらとりあえずＡＯＲ」的な、何でもアリ感には警鐘を鳴らしつつ、“AORはジャンルではなくスタイル” というポリシーで、ボーダーラインに位置するタイプの作品は寛容でありたいと思っている。
そうした意図を抱きながらの、エリア別分析。分け方の基準そのものは様々ながら、計220枚のセレクトは中途半端なガイド本よりはるかにヴォリューミーだし、ちょっと意外なアイテム、マニア向けの隠し球も入っている。自分でいろいろ聴き直して発見が多かったのは、これまであまり語られなかった南部編。反対に今回はUKモノとかハワイものがスッパリ抜けて落ちているが、AORの音楽的進化のプロセスを考えたら、プライオリティが低くなるのは仕方のないトコロだろう。
ま、こうして形にすると、きっと様々な異論が出てくるだろうが、一番大事なのは、そうした違いを認め合うこと。まずは手に取ってお読みいただき、少しだけ、自分にとってのAORに想いを馳せていただけたら嬉しい。カナザワ的には、99年に刊行した角松本リニューアル、そして99年以来となるレココレ誌AOR特集と、自分の音楽ライター・キャリアがココでひと回りしている感がある。そうすると、後はやはり、ずーっとお待たせしているアレをやるしかないよなぁ〜。
南部というと、クラシックス�古�も入ってくるのかも。