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7、8、9月と、3ヶ月に渡って展開されている【ADLIB presents ビクター和フュージョン40W】シリーズ。監修は元ADLIB編集長の松下さんだが、カナザワも裏から口を挟ませてもらってて、それをキッカケにラインナップに加わった作品もある。解説担当は10枚超。7月発売分はブログ更新停滞中でまったく紹介できなかったので、8月発売分は何枚かピックアップしていきたい。ちなみに7月発売分で一番売れているのは、やっぱり訃報があったためだろう、松原正樹さんの2枚だとか…。

8月第2弾発売分の概要は、コチラを参照して戴きたいが、そのうちカナザワがライナーを書いたのは、日野皓正『CITY CONNECTION』、ネイティヴ・サンの1〜2枚目の3枚。そのいずれもが、和フュージョンの黄金期を先導した作品である。

振り返ってみると、和フュージョンの黎明は、ティン・パン・アレーや、高中正義らサディスティックス勢、四人囃子〜プリズムの森園勝敏など、主にロック勢によって刻まれた感が強い。それに続いてジャズ・シーンの頂点に立っていた渡辺貞夫、日野皓正、そして若き新鋭:渡辺香津美らがクロスオーヴァー作品をリリース。だが和ジャズのキャリア組の多くはジャズの格式に捕らわれ、「シャリコマ(コマーシャル)過ぎる!」とこの手のサウンドに背を向け結果、総じて乗り遅れてしまった気がする。ナベサダに続いたのは、コルゲン・バンドを経てザ・プレイヤーズを立ち上げる鈴木宏昌、同じくメディカル・シュガー・バンクを結成する佐藤充彦、そしてこのネイティヴ・サンの中核:本田竹曠(竹彦・竹広名義もアリ)らであった。

本田は、70年代中盤を渡辺貞夫グループで過ごして腕を磨き、当時の仲間たちがアカデミックなジャズ・ロック指向を強める中、黒人音楽に傾倒。逸早くエレクトリック・ピアノによるファンク路線にトライした。相方となるサックスの峰 厚介は、菊地雅章グループで注目を集めたサックス奏者。その後ニューヨークで修行し、70年代後半に帰国して自身のグループを組んでいる。その2人が出会って意気投合し、結成されたのが、このネイティヴ・サン。メンバー全員が既にそれなりのキャリアを持つジャズ・ミュージシャンだったにも関わらず、インタープレイを抑えて一丸となって16ビートのグルーヴに向かったのだから、さぁ大変。当時の若手フュージョン・バンドの、スリリングながらも仕掛けの多いリズムとは違い、大らかかつ成熟したリズム解釈で、極めて欧米的なセンスと何モノにも揺らがぬ安定感を打ち出した。その象徴が、上掲作からTV-CMに使われてヒットした<Super Safari>である。

グループ自体はメンバー・チェンジを経て80年代後半まで続いたが、やはり彼らの最盛期は最初の2作とUSツアーで収録したライヴ盤『COAST TO COAST』まで。もし外タレに喩えれば、ちょうどクルセイダーズあたりだろうか。チマチマした16ビートに飽き足らなくなったオトナのジャズ・クロスオーヴァー・ファンにオススメしたい、名盤である。