jim hall
数多くのジャズ名盤で腕を振るったレコーディング・エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーが、8月25日に死去した。享年91歳。

ルディ・ヴァン・ゲルダーは音楽史上で最も重要なエンジニアの一人と考えられ、40年代に検眼技師から転身。50年代からブルーノートで仕事を始め、創始者にしてプロデューサー:アルフレッド・ライオンに気に入られ、同レーベルのほとんどの録音を手掛けるようになった。とはいえモダン・ジャズには縁の薄いカナザワにとっては、ゲルダーといえばCTI。クリード・テイラーがプロデュースした作品の多くも、やはりゲルターの手に拠ってレコーディングされた作品だった。

ブルーノートでのゲルダーは、アルフレッド・ライオンが「黒人家庭で使用している安いレコ−ド・プレイヤ−でも迫力のある音で聴けるようにして欲しい」と要望したことから、マイクをできるだけ楽器に近づける方法で、野太い音を記録したという。が、ジャズのイージー・リスニング化を標榜したCTIでの録音は、よりナチュラルで繊細。低音は太さと同時に柔らかくふくよかで、弦の響きやエレキ・ピアノのゆらぎ感を滲み渡らせる空間がある。ある意味、ブルーノートとは真逆に近いコンセプトだ。

そうしたCTIサウンドのシンボルと言えるのが、ジム・ホールによる75年録音の名作『CONCIERTO(アランフェス協奏曲)』。アレンジはドン・セベスキー。CTI入門としてもベストな一枚。今日はコレでルディ・ヴァン・ゲルダーを偲びます。
Rest in Peace...

ちなみにCTIは、9月頭に〈CTI SUPREME COLLECTION〉第2弾を展開予定。