nora jones daybreaks
行きたいライヴ、お誘いを受けてるライヴなどが目白押しの3連休。仕事で外出する予定があってそれらを諦めたところで、スケジュールが変更になり…。でも今更いろいろ手配して出掛ける気になれず、この3日間は、引き続き仕事部屋の片付けとデスクワークになりそう。ま、天気もあまり良くないみたいだし、ちょうどイイか…。

で、話題沸騰中のノラ・ジョーンズ新作。ふと気がつけば、<Don't Know Why>を生んだ名盤1st から15年も経っていて…。その間、彼女自身のアルバムはもちろん、ビリー・ジョー・アームストロング(グリーンデイ)とのデュオ作、女子3人組プスンブーツも聴いてきた。けれどカナザワ的には、やっぱり愛聴していたデビュー盤を越えるモノはなく…。この新作に対して “ノラがジャズに帰ってきた”、 “再びピアノを弾いている” と世間が言っているのも、ギターを抱えてシンガー・ソングライター然とした近年のノラが、必ずしも全面支持されていたワケではなかったのを物語る。早くもこの新作に賛否両論が飛び交うのも、そうした期待感と実際の作品とのギャップから生じているのだろう。

確かに1st 以来のジャズ回帰だし、ピアノもたくさん弾いている。でもココにいるノラは15年前と同じではなく、フォーク〜カントリー〜アメリカーナ路線を経由して再びジャズに接近していることを忘れちゃならない。シットリ叙情的な表現を披露した可憐さは、2児の母親らしい逞しさ、足を地に着けた力強さに進化しているし、内省から出ずる説得力に溢れている。ウェイン・ショーター(sax)、Dr.ロニー・スミス(organ)、ジョン・パティトゥィッチ(b)、1st でも叩いていたブライアン・ブレイド(ds)ほか…というラインナップは、もっと熱いジャズ・プレイを予感させて余りあるが、期待に反して音数は必要最低限。あくまでノラの歌とピアノを引き立てるべく、ひとつひとつのトーンに感情を宿らせているようだ。

ホレス・シルヴァー<Peace>、デューク・エリントン<Fleurette Africaine>のカヴァーがあるが、プスンブーツでニール・ヤングの曲をカヴァーし、彼の前座を務めたように、最近のノラはニールへの傾倒を深めている。ここでも<Don't Be Denied>をリメイク。単に楽曲の魅力だけでなく、老いてもなお辛辣な社会メッセージを投げ掛け続けるニールに、大きなシンパシーを抱いているのだろう。

日本盤では4曲のライヴ・ヴァージョンがボーナス収録され、やはり<Don't Know Why>が最後を締める。CDが売れない当節、ファン・サーヴィスとしては当然の措置なのだが、やっぱりアルバム的には要らない楽曲だったかも…。それでもデビュー盤以来の愛聴盤になるのは必至です。