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A&Mレコードの “A” であったハーブ・アルパートの旧作計25枚が、彼自身のレーベルから一気リイシューされた。それで某誌用にピックアップし、レビュー執筆中。もちろんティファナ・ブラス時代の作品も含んでいるが、よくよく見ると、何故か抜けているカタログもあったりして…。何せハーブがA&Mを離れる時に、彼と奥方ラニ・ホールの音源をすべて引き上げてしまったしまったらしく、外からはなかなか復刻が仕掛けられない。00年代中盤にティファナ・ブラス期やヒット作『RISE』(79年)あたりが順次再発され、日本でも紙ジャケが出たが、80年代の作品群はスルーされてしまった。故にこの辺りのアルバムは、おおよそ四半世紀ぶりのCD化。近年は法外な値段でオークションに出品されていたから、何とも嬉しい再発だ。

早速カナザワも、アナログしか持っていないアルバム、買いそびれていた作品など、7〜8枚をゲット。そのうちフュージョン〜AORファンにもニーズの高そうな2作を紹介しておこう。

80年発表の『BEYOND』は、ヒット作『RISE』に続く作品。当然テイストもその延長にあって、メロウで聴きやすいディスコ・フュージョン路線。ウイスキーのCMに使われたタイトル曲は、マイケル・ボディッカーのシンセ&ヴォコーダーで新しい味付けが施された。この曲はラー・バンドのリチャード・ヒューソン作だから、それでシンセ駆使の音作りなのネ。ちなみにこの再発盤にはメンバー・クレジットがないので書いておくと、スティーヴ・ガッド(ds)、エイブラハム・ラボリエル(b)、クリス・ピニック/ティム・メイ(g)、マイケル・ラング(kyd)、マノロ・バドレーナ(perc)、アーニー・ワッツ(sax)らが参加。ジョニー・ギター・ワトソンとピーター・フランプトンがゲストでギター・ソロを弾いている。アース・ウインド&ファイアーの<That's The Way Of The World>のカヴァーがあり、他の曲でトムトム84が弦アレンジを手掛けているから、狙いもだいたいそんなトコでしょう。

『MAGIC MAN』は翌81年の作品。プロデュースがハーブとマイケル・ストークスなので、黒さ増量と思いきや、実はそうでもなく、基本は前2作の踏襲。むしろ強調されたのはハーブお得意のメリアッチというか、ソフト・ラテンの色合いだろうか。実際<Besame Mucho>のカヴァーがあったり、ハーブがティファナ・ブラス時代に書いた<You Smile - The Song Begins>を演っていたり…。でもこのアルバムのポイントは、ハーブがまったりリード・ヴォーカルを取る<I Get It From You>が、ペイジス〜Mr.ミスターの名コンビ:リチャード・ペイジ&スティーヴ・ジョージの提供であること(もちろんバック・ヴォーカルも)。他の参加メンバーも豪華で、デヴィッド・フォスター/スティーヴ・ポーカロ/ミッシェル・コロンビエ/ジェレミー・ラボック(kyd)、スティーヴ・ルカサー/ワーワー・ワトソン(g)、エイブラハム・ラボリエル/フレディ・ワシントン(b)、ジョン・ロビンソン/ジェイムス・ギャドソン(ds)、ポウリーニョ・ダ・コスタ/スティーヴ・フォアマン(perc)他がバック・スリーヴにクレジットされている。もうそれだけで、買うっきゃナイでしょ イージー・リスニング・フュージョンと言えばその通りだけれど、リバーブをたっぷり掛けたハーブのトランペットには、没個性的な昨今のスムーズ・ジャズと違うアピールがあります。

そうそう、ハーブは新作『HUMAN NATURE』も出したでよう(未入手ですが…)。