mose allison
また訃報の連鎖。ジャズ・ピアニストにして、ヒップなシンガーとして親しまれたモーズ・アリソンが、去る15日、米サウスカロライナにある自宅で逝去した。享年89歳で、老衰だったという。10年にジョー・ヘンリーのプロデュースでポロっと出した上掲作が、結局遺作になってしまった。その時のポストはコチラからどうぞ

当ブログ的には、マイケル・フランクスやベン・シドラン、ジョージィ・フェイムなど、ジャズ・センスのヘタウマ・シンガーの先駆として位置づけたい人。一方でロック・ミュージシャンからの信奉され、ヤードバーズ、ザ・フー、ジョン・メイオール、ヴァン・モリソン、ロバート・パーマー、クラッシュ、エルヴィス・コステロなどがモーズの曲を歌っていた。そうそう、3日亡くなったばかりのレオン・ラッセルも。

ちょうど最近、AORのルーツについて、いろいろ考えを巡らせている。99年刊の拙著『AOR light Mellow』では、最初にニック・デカロ『ITALLIAN GRAFITTI』を持ってきたけれど、あれは音楽的なAORのルーツというよりは、「AORの基本スタイルを論理的に構築し、譜面に表した」という点において第一歩だと思ったから。よく似た演奏スタイルはベン・シドランの方が先だし、ミクスチャーという意味では、ラスカルズやフィフス・アヴェニュー・バンドの方が早い。ビートルズだって、ジョージ・ハリスンの名曲はAOR的と言える。

同じようにモーズ・アリソンのセンを辿っても、チェット・ベイカーがいるし、ゲッツ/ジルベルトだってそう。ま、どこに線を引くか、ってコトですが。

改めてそんな思いを巡らせつつ、廉価盤やらハコもので手に入れやすくなった往年の盤を聴く。
Rest in Peace...