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今年3月のキース・エマーソン自死に次いで、今度はグレッグ・レイクが12月7日、長年のガンとの闘病生活の果てに亡くなった。享年69歳。
キング・クリムゾン『クリムゾン・キングの宮殿』でシンガー/ベース奏者としてデビューしたグレッグだけど、ロバート・フリップはグレッグのヴォーカル、ピーター・ジャイルズのベースを理想としていて、2作目『ポセイドンのめざめ』ではその布陣を取った。そこでグレッグはキース・エマーソンと構想を練っていた新グループを立ち上げ、70年にデビュー。そのエマーソン・レイク&パーマー衝撃のデビュー作が、このアルバムである。

カナザワとグレッグとの出会いは、中学生の時に、ELP『恐怖の頭脳改革』を新作として聴いたのが最初。そこから『タルカス』や『展覧会の絵』、この1stと遡った。よってグレッグといえば、まずELPが思い浮かぶ。そこでグレッグは表看板であるキースの向こうを張り、プロデューサー的なまとめ役を担っていた。彼の一番の魅力はアコースティックな<賢人(The Sage)>とか<Still, You Turn Me On>とか 。深みのある美声の持ち主だったから、クリムゾンでも<Epitaph>とか<Moonchild>のようなスロウ・チューンが似合った。

ただ残念だったのは、フリップやロジャー・ウォーターズ、ジョン・アンダーソン、ピーター・ガブリエルらのように、哲学者でも煽動者でも思想家でもなかったこと。だからELPが音楽的目標を失った時には、能天気なアルバムしか作れなかったし、その後の再結成も成功しなかった。そういえば、エイジア初来日の時、自分はジョン・ウェットンが一番観たかったのに突然脱退しちゃって、代わりにグレッグが来た!なんてコトもあった。アレは何か、居るべき場所を間違えた感アリアリで、グレッグには気の毒だった気がする(逆に貴重な体験ではありましたが…

ちなみ日本では、ELPとクリムゾンの話で終始してしまうグレッグ。でも本国英国では『WORKS VOL.2』収録の<I Believe In Father Christmas(夢見るクリスマス)>がソロ・シングルとしてリリースされ、全英2位ヒットを記録。季節の定番曲として親しまれ、84年/86年にもチャート・インしている。故にグレッグのソロ・アーティストとしての認知度もそれなりに高いのだ。今回はまさに、そういうシーズン到来の中での訃報となってしまった。

Rest In Peace...