andra day
クリスマス・シーズンにスティーヴィー・ワンダーとの共演曲<Someday At Christmas>(発表は一昨年暮れ)を含むクリスマス・アルバムがリリースされ、ちょっとした話題を提供してくれたアンドラ・デイ。9月に横浜赤レンガ倉庫で開催されたブルーノート・ジャズ・フェスでの熱演も印象的だったが、その時に記事をアップしようと思ったら、CDが見当たらずに断念。それが今回の音盤整理でヒョッコリ出てきたので、改めて聴き直してみた。

50〜60年代風のヴィンテージなソウル感覚を漂わすシンガーで、そのスティーヴィーに見出され、30歳での遅咲きデビュー。歌声といいサウンドといい、エイミー・ワインハウス没後にそのままジャスト・フィットしそうなスタイルだが、繊細な感性をハスッパな個性で包んでいたエイミーに対し、こちらはもっとオトナでゴージャス。アデルを黒くした、という言い方もできそうだ。ニーナ・シモンが再評価を受けている折、そうしたソウルとジャズの折衷も視野にあっただろう。ヒップホップが大好きで、2パックとナズに影響を受けたそうだが、その一方でチェス・レーベル物やビリー・ホリデイ、エタ・ジェイムスらの香りも漂わせる。曲によってはアリシア・キーズを思わせるところも…。

「(地元の)南カルフォルニアには、とても大きいロカビリーのカルチャーがあって、よく父や学校の仲間とクラシック・カーのショーを見に行ってたんだけど、そこにビリー・ホリデイやレナ・ホーンみたいなピンナップ・スタイルの女性がいて、ここから40~50年代、60年代初期あたりのスタイルを取り入れるようになったの」(ブルーノート東京PRマガジン JAMから引用)

で、ようやくブックレットを見ながらその歌声に耳を傾ることができたワケだが、スティーヴィーの後ろ盾もあってか、ラファエル・サディークだの、クエストラヴだの、クリス・デイヴだの、ピノ・パラディーノといった売れっ子たちが貢献している。特にビックリしたのが、AORファンにはお馴染み、エイドリアン・ガーヴィッツの活躍ぶり。全13曲中半数以上に作編曲/プロデューサーとして関わり、ラファエル・サディークと共同制作した楽曲もある。80年代後半以降、彼がソングライターとして成功したのは知っている人も多いと思うが、あまり情報が入ってこないと思ったら、近年はディズニーのスタッフ・ライターを務めていたようで、契約が満了したのか、再び前線へ戻ってきた。その中でもこのアンドラとの仕事が最大のモノ、と言って良いだろう。<City Burns>では、スティーヴィーがゲスト参加していて得意のハーモニカを吹いていると思ったら、これがどうもエイドリアンのプログラムらしく…。

更にクレジットをよーく確認すると、デヴィッド・ペイチがピアノを弾いていたり、ディーン・パークスがギターを弾いている。エイドリアン・ガーヴィッツ=GUN、なんていう人は、きっともういないんだろうな。