splinter_2 man band
ジョージ・ハリスンのダーク・ホース・レーベル契約第1号アーティスト、スプリンターの3作目が、昨年秋に韓国プレスで初CD化〜帯・解説付きの国内仕様盤で流通開始。77年制作で、彼らの作品の中で最もAOR寄りといえるが、結局コレがダーク・ホースでのラスト・アルバムになった。

レコーディングは前2作と同様、ジョージの自宅スタジオであるフライアー・パーク。ただしジョージ自身はエグゼクティヴ・プロデュースに退いて、僅かにギターを弾いただけ。現場を仕切ったのは、ナッシュヴィルから呼び寄せたノーバート・プットナム(b)で、バックには彼が連れてきたエリア・コード615のメンバー3人、デヴィッド・ブリッグス(kyd)とスティーヴ・ギブソン(g)、ケニー・バトレー(ds)の名が並んだ。特に注目すべきは、2曲提供してギターも弾いているパーカー・マッギー。既にイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー周辺でソングライターとして注目され、前年には初ソロ作『PARKER McGEE』を出していたので、ノーバートもその才能に注目していたことが窺える。その米国勢にひとりシンセを持って割って入ったのが、アージェントを解散させて間もないロッド・アージェント、というのも面白い。

メンバーの2人、ビル・エリオットとボビー・パーヴィスの持ち味は、繊細なハーモニーとフォーキーなポップ・サウンド。その個性は初期ほど濃厚と言えるが、AOR的には本作あたりが一番バランス良く聴ける。

本作以前から日本との関係を深め、中村雅俊やタケカワユキヒデともコラボレイトしていたスプリンターなので、ダーク・ホース閉鎖後は自ずとそちらの方向へ。アルバム2枚の他、日本のヒット曲のカヴァー・シングルを出したが、ビートルズ・ファミリーというイメージとは裏柄に、少し安っぽく見えてしまった。音的にもっと近い人と組んで、洋楽ファンを「オオッ!」を唸らせれば、多少は浮上の目が出たんだろうに…。

それにしても、最近の韓国プレスものは、ジャケの色見がヒドイのが多い。コレもアナログ盤に近くなるよう露出を上げているので、ご承知おきを。