supercharge
英国産ブルー・アイド・ソウル・バンド、スーパーチャージの77年作『HORIZONTAL REFRESHMENT』が、紙ジャケットで密かに再発されている。レコードコレクターズ誌の古い方のAOR特集号(99年11月号)で、UK〜オセアニア・メロウ・グルーヴのコーナーに前作『LOCAL LADS MAKE GOOD』が選ばれ、“如何にも英国産らしいバカ・ポップ・バンド” と揶揄されていたが、まぁ、当たらずとも遠からず、というのが正直なところで。

スーパーチャージは74年にリヴァプールで結成。地元パブでライヴ・バンドとしての評判を築き、まずはローカル・デビューした。間もなくロンドンへ進出してパブ・サーキットで実力を磨き、76年に新興ヴァージンと契約。その第1弾が前述『LOCAL LADS MAKE GOOD』だった。アルバム・セールスは今ひとつだったが、同年のレディング・フェスティヴァルに出演。ファンキーな演奏とショーマン・シップに彩られたステージ構成で、ライヴ・バンドとして認められるように。自分もこの頃、パンツ姿のメンバーがステージで後向きで横一線に並ぶと、尻に字が書いてあって…というおバカな写真を音楽誌で見た記憶がある。前後して、ハイドパークで行われたクイーンのフリー・コンサートにオープニング・アクトで出演、知名度を広げた。クイーンとはトライデント・スタジオ繋がりだったようだが、米国で言えばワイルド・チェリーに通じるような、そんなお茶目なパーティ・バンドだったようである。

でもその音は、アヴェレージ・ホワイト・バンドやゴンザレス、ココモを髣髴させる上質なホワイト・ファンク。しかも、そうした一連のグループよりもダンサブルかつ下世話なグルーヴを持っていて、グイグイと熱く攻めてくる様はタワー・オブ・パワーやブルース・ブラザーズ風でも。そうしたファンク、ブルー・アイド・ソウル、パブ・ロック的ノリに、時折プレAORテイストのミディアム〜スロウを絡めてくる。この辺りのバランス感は、まだ駆け出しプロデューサーだったロバート・ジョン・“マット”・ランジの手腕もあるのかな? ラストの<Really Quite Easy>のリフは、ポール・マッカートニー<Coming Up>を何十倍もカッコよくしたような…

だがその後はヴァージン総帥リチャード・ブランソンの横槍があったのか、主要メンバー2人を残してメンバー交替。その音楽性も、ニュー・ウェイヴ寄りにシフトしていった。この時グループを追われたメンバーは、後にマイク&ザ・メカニクスで活躍するポール・ヤングがいたサッド・カフェや、グレアム・パーカーのバック・バンドとして知られるザ・ルーモアなどに移籍した。

驚くコトにスーパーチャージは現在も活動を続けていて、ドイツを中心にクラブ・サーキットを廻っているそう。でも作品としては、やはり本作を頂点にした70年代後半モノが一番でしょ? それにしても韓国製紙ジャケは、相変わらず色見が最悪。隠れた好盤をCD化しているのに、何だかとても勿体ない。