buckigham nicks
フリートウッド・マック大躍進の立役者リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスが、マック加入前に組んでいたデュオ:バッキンガム・ニックス。彼らが73年にポリドールから発表したワン&オンリー作が、ここへきてようやく初CD化となった。この奇跡を呼んだのは、Korean Label のBig Pink。その帯・解説付き国内流通の発売は、来月3月8日が予定されている。

このアルバムは、カナザワもこれまでに何度かユニバーサルに再発の許諾申請を出したことがあった。が、一向にアプルーヴァルが下りない。それはどうやら、リンジーとスティーヴーがアルバムの原盤権を買い上げてしまったのが原因らしく。こうなると本人たちがその気にならない限り、もう復刻は叶わない。

それがこうして発売されたから、SNSではブートレグ説が飛び交い、某ベテラン音楽評論家氏が「Big Pinkはブート屋」と決めつけて、コレもブートだと言い放った。確かにアソコは超マニアックなシンガー・ソングライター物などを続々CD化していて、権利的に少々怪しげな、グレー・ゾーン的アイテムが少なくない。でも日本発売元であるヴィヴィド・サウンドに関わる者からすると、Big Pinkにだってチャンと権利者やアーティストから許諾を得たものが多数あり、決してブート屋ではない。

現にこの『BUCKINGHAM NICKS』のCDにも、License from Pogologo Music という記載がある。このPogologo Musicは、本作のプロデューサー兼エンジニア:キース・オルセンのカンパニー。このクレジットを信じるならば、当然リンジーやスティーヴィーにも話が通っている、と考えられる。だからこそ、未発表曲や未発表ライヴなど9曲もの貴重音源が追加されたのだ。加えてアルバム収録曲のシングル・ヴァージョンも2曲あり、計11曲ものボーナス曲が大量収録されている。これはただのブート屋には到底無理な芸当と思うが…。長い間音源を温めていたリンジーも「そろそろ出してもいいかな…」と思っている節があったと聞いている。

さて、肝心の作品。オリジナル収録曲は、1曲を除いて2人のオリジナル or 共作曲で、マックで再演する<Crystal>の原曲も入っている。サウンド的には、彼らの加入直後のマック作品『FLEETWOOD MAC(ファンタスティック・マック)』や『RUMOUR(噂)』の中の2人の曲を、もっとフォーキー&アーシーにした感じ。メロディにはキラメキがあるが、アレンジはまだ野暮ったくて未完成。でものちに絶賛されるリンジーのアコースティック・ギターには、その片鱗がハッキリ表れている。当時は恋人同士でもあった2人ゆえ、声を合わせてのハーモニーには微笑ましい部分も…。

バックにはジム・ケルトナー(ds)、ジェリー・シェフ(b)、ホルヘ・カルデロン(perc)など。単にワディとあるギター弾きは、多分ワディ・ワクテルだろう。ボーナスのライヴ曲には、マックで発表する<Rhiannon>もあり、音質も手伝って本当に荒削りなマックといった風情。でもそれが楽しいのだ。またスタジオ曲のボーナス分にも、後のマックのレパートリーやスティーヴィー・ソロの楽曲が入っている。

ちょうどそのマックも『MIRAGE』や『TANGO IN THE NIGHT』、スティーヴィーもソロ1〜2作目の拡大版を出していて、やたらとマック身辺が賑やか。その勢いで、ずーっとスルーされている久々のジャパン・ツアーが実現しないものだろうか。日米の人気差が原因で、どうもギャラが見合わないらしいんだけど…。

ちなみにこの『BUCKINGHAM NICKS』、LPだとゲートフォールドのダブル・ジャケットとシングル・ジャケットの2種類あるんだけど(レコード番号は同じ)、再発紙ジャケはシッカリ見開きでした。