bob marley live 3lp
75年に発表されたポップ/ロック史に残る名盤:ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『LIVE!』。そのデラックス盤が、昨年12月にアナログ盤3枚組でリリースされた。自分はピーター・バラカンさんのラジオ番組でその情報を知り、すぐさまゲット。ところがその後も全然話題に上がらず、CDはおろか国内発売の報もない。どうしたことか?と、ふと思いついてネットを検索したら、偶然にも今日2月6日が、ボブ72歳の誕生日だった。もちろん生きていれば、の話だけど、もしかして呼ばれちゃいましたかね…

オリジナル盤は75年7月18日、ロンドンのザ・ライシアムでのライヴ収録。エリック・クラプトンがカヴァーして一挙にレゲエの存在を日本に広めた<I Shot The Sheriff>や代表曲<No Woman, No Cry>、それにレベル・ミュージックのアンセムとも言える<Get Up, Stand Up>など、7曲が入っている。その後リマスター時に1曲<Kinky Reggae>がボーナス収録され、8曲が既発表に。紙ジャケット盤も、この+1仕様になっていた。

対してこのアナログ3枚組デラックス盤は、18日公演12曲を収録。しかも、オリジナル盤では短く編集されていた2曲がフル尺で収められており、人気曲<Get Up, Stand Up>が10分超になっている。そして、これまで世に出ていなかった前日17日の同ライシアム公演からも10曲収録。そこでしか聴けない楽曲こそないものの、演奏の熟れ方やオーディエンスの反応の違いなど、当時のボブの熱いパフォーマンスをトコトン味わうことができる。セットリスト全曲のコンプリート収録ではなさそうだけど、歌やプレイに大きな問題がなかった楽曲は、ほぼ収められたと思って良さそうだ。

聞くところによれば、ウェイラーズが所属していたアイランド・レコードのトップ:クリス・ブラックウェルは、“彼らには時期尚早” とライヴ盤の発売を逡巡していたらしいが、この17日にプレイされた<No Woman, No Cry>でのオーディエンスの熱狂ぶりを目の当たりにして、発売を決断したと言われている。

今でこそAORだ、ライトメロウだと言ってるカナザワも、この盤が出た頃は まだ青臭きロック少年。当時の音楽が持っていた精神性・社会性が、自我の形成に大きく影響している。だからフジロックにSEALsが参加した時、「音楽フェスに政治を持ち込むな」という声が上がって大きな疑問を持った。SEALsの主張を支持する・しない、ではなく、自分たちが暮らす社会、若い世代が背負うこれからの社会に真摯な目を向けることが何より大事だと思うからだ。音楽をそのキッカケにするコトは全然アリだと思うし、自分はそれを70年代のロック・アーティストに学んだ。音楽が人生にとって掛け替えのないモノになるかどうかは、若い頃に経験した音楽との関わり次第だと思う。

そう書いていて、大学時代に同級生だった角松敏生の家へ遊びに行った時、このボブのライヴ盤がさりげなく置いてあったの見つけ、妙に嬉しくなったのを思い出した。