jennifer warnes
知性溢れるメガネ美人、ジェニファー・ウォーンズのアリスタ期2作(70年代後半)が、英BGOから21in1でリイシューされた。79年作『SHOT THROUGH THE HEART』は以前からCDで再発されていたが、76年の『JENNIFER WARNES』は何と待望の世界初CD化となる。

ジェニファーといえば、グラミーとアカデミー両冠に輝いたジョー・コッカーとのデュエット<Up Where We Belomg(愛と青春の旅立ち)>でお馴染み。同じサントラで、ビル・メドレーと歌った<Time Of My Life>(映画『DIRTY DANCING』主題歌)も大ヒットしている。最近はレナード・コーエン急死で、彼の作品ばかりを歌った87年作『FAMOUS BLUE RAINCOAT(ソング・フォー・バーナデット)』が注目された。アリスタ期作品の復刻が遅れているうちに、ジェニファー名義で出した初期2作(68〜69年)が再発されたが、反戦ミュージカル『HAIR』で主役を務めるなど女優業も行っていた頃のことは、あまり触れてほしくないらしい。

シンガーとしての本格的キャリアがスタートしたのは、ジャクソン・ブラウンも参加しているリプリーズからの72年作『JENNIFER』だが、セールス面は芳しくなく…。結局知名度を上げるのは、76年の4thアルバム『JENNIFER WARNES』になる。ここからは、ピーター・マッキャンが提供した<Right Time Of The Night(星影の散歩道)>が全米6位(アダルト・コンテンポラリー・チャートでは首位)を記録。リチャード・カー作<<I'mDreaming>もスマッシュ・ヒットし、イージー・リスニング・チャートでトップ10入りした。

プロデュースはジョー・コッカーのブレーンだったジム・プライス。バックにはニッキー・ホプキンス(kyd)、ジェイ・グレイドン/ダニー・コーチマー/ケニー・エドワーズ(g)、ラス・カンケル/ラルフ・ハンフリー(ds)などが参加するが、あくまで歌モノのサポートに徹した堅実なプレイだ。ローリング・ストーンズ<Shine A Light>のカヴァーがあるが、アリスタとしてはリンダ・ロンシュタットの路線を狙ったのだろう。一番面白いのは、やはりコッカー人脈のダニエル&マシュー・ムーアが楽曲/ヴォーカルで貢献する<Bring Ol' Maggie Back Home>の、R&Bチックっぽい盛り上がり。<Daddy Don't Go>は少々イーグルスを髣髴させるが、全体としては、リンダよりもスワンプ寄りで落ち着いたジェニファーの歌声を聴くべき作品と言える。

対して79年作『SHOT THROUGH THE HEART』は、もっとポップ色を濃くしたウエストコースト・アルバムといった趣き。アンドリュー・ゴールド、ブロンディ・チャップリン、バジー・フェイトン、ブロック・ウォルシュ、マイク・フィニガンなどを起用し、よりキャッチーに迫っている。ボブ・ディランやジェシ・ウィンチェスターの楽曲など興味深いセレクトがあるが、トム・スノウとレオ・セイヤーが共作した<Tell Me Just One More Time>のカヴァーが意外にハマっていたり、逆にバラカック楽曲はあんまし彼女に合ってなかったり…。

素晴らしいシンガーだけど、意外に扱いが難しそうな個性ゆえ、ジックリとマイペースで歌えるようになった80年代以降の方が人気が高くなるのも納得できる気がするな。