kandace spring
プリンスがデビューにひと役買ったブルーノートの新しい歌姫キャンディス・スプリングスが、2度目のジャパン・ツアーをスタート。昨年9月の日本初ツアーは見逃してしまったし、その前のプロモ・ライヴも観られなかったが、話題の新人だけあって露出は多く、そのネイキッド&ウォームな歌声にはシッカリ惹きつけられていた、そして今日、ブルーノート・トーキョー3daysの初日1st Showに駆けつけた。

トレードマークのカーリーアフロに、ボディラインがくっきりの黒いタイト・ワンピース。女性ファンから思わず「カワイイ」なんて歓声が上がる中、おもむろに演奏スタート。バックはウッドとエレキ両方を操るベースにドラムの2人だけ。ドラムは去年も来ていたそうだが、共にかなり若そうだ。

セットリストはアルバムを中心にしつつ、そこに適宜スタンダードを交えたもの。例えばデューク・エリントン<Solitude>、ビリー・ストレイホーン<Lush Life>、“フェイヴァリットのひとつ” と紹介したビリー・ホリデイ<Strange Fruit>などをウェットに歌いつつ、オスカー・ピーターソン<Chicago Blues>をピアノ・ソロで披露したりも。ビリー・ホリデイのほか、ノラ・ジョーンズ、エラ・フィッツジェラルド、ニーナ・シモン、ロバータ・フラック、アレサ・フランクリン、シャーデー、ローリン・ヒルなどに幅広く感化されたそうだが、ピアノ・プレイには少々クラシカルな香りも。父親がナッシュヴィルでは有名なシンガーで、彼女も10歳からピアノを習い始めたというから、そういう名残なのかもしれない。

それでもやはり印象に残るのは、耳に残るリフを持ったオリジナル曲や、ウォーやジョージ・ベンソンでお馴染みの<The World Is a Ghetto>、ロバータ・フラックのカヴァー<First Time Ever I Saw Your Face>あたり。静謐というよりは、感情を押し殺しつつ、そこから沸々と湧き上がってきた真の情感、エモーションのエキスだけで歌い綴るような、磁場の強さがそこにあった。

それなりの尺のショーともなれば、もう少しファンキーな面も出てくるのでは?と予測していたが、終始ジワジワと籠めたステージ。ラストは、プリンスが動画サイトで見てキャンディスにコンタクトを取ったという曰く付きの<Stay With Me>(サム・スミスのカヴァー)で幕。スキャットを交えた見事なパフォーマンスには、まさに彼女の持ち味が光っていた。

《1st show set list》
1. NOVACAINE HEART
2. TALK TO ME
3. CHICAGO BLUES
4. SOUL EYES
5. PEOPLE MAKE THE WORLD GO ROUND
6. SOLITUDE
7. THOUGHT IT WOULD BE EASIER
8. LUSH LIFE
9. HOW INSENSITIVE
10. CATCH ME WHEN I'M FALLING
11. THE WORLD IS A GHETTO
12. STRANGE FRUIT
13. PLACE TO HIDE
14. HUMAN
15. FIRST TIME EVER I SAW YOUR FACE
-- Encour -
16. STAY WITH ME