senri kawaguchi_cider
大学生になったばかりの手数姫:川口千里ちゃん所縁の御仁と、ちょいと作戦会議的ミーティング。その後、夕方遅めのランチ・ミーティング、更に場所を移動して…と、なかなかに充実した一日。

そこで今日のチョイスは、千里ちゃんのメジャー・デビュー作『CIDER』を。発売と同時にゲットし、一度ツルッと聴き流して、「これはあとで真剣に聴き直すべし!」と決めたのは良かったが、例によってなかなか手に取れず今になってしまった。

でもコレがイイんです 最近メッキリ少なくなってしまった、良質の王道ジャズ・フュージョン、とでも言うか。近年の米国産インストは、気鋭のフューチャー・ジャズ勢を除くと、相も変わらず毒にも栄養にもならないようなスムーズ・ジャズばかり。対する日本も、ウェル・プロデュースドなポップ・インスト系が強いのは80年代から同じで、個人的にはもうひとつふたつ、刺激が欲しいと思っていた。

で、この千里ちゃんメジャー・デビュー作。彼女の溌剌としたドラミングが光ってるのは当たり前だけど、今回は、かのフィリップ・セス(kyd)がサウンド・プロデュースを担当。硬派なサウンドのクセに妙に耳馴染みが良いという、ある意味とても理想的なコンテンポラリー・ジャズ・フュージョンを披露している。セスといえば、スムーズ・ジャズ作品に参加はしても、自分では頑なにその手のソロ作を拒み続け、迎合せずにきた感がある。そんなセスが彼女のドラミングに触発され、本気でアルバム作りに挑んだ、そんな気がするのだ。ミュージシャンのクセにお色気勝負とか、どうも間違った方向へ進みがちな昨今の日本のフュージョン界に、大きな “喝” を入れてくれる、そんなアルバムだと思う。

そういえば最近は、国内外を問わず、メチャメチャ演奏技術の高いキッズたちが、頻繁にSNSに登場してくる。でも自分はそれを見て、“ウマイなぁ…” とは思っても、手放しで褒めちぎる気になれない。重要なのは、その技術の高さをどう使いこなして、自己表現していくか。ハイ・スキルなのは良いことだし、その努力は認める。けれどそれって、準備運動が終わったようなモノ。高価な楽器持ってます、ヴィンテージな機材持ってます、というのと大して変わらず、それをどう鳴らすかが一番大事なのだ。若くして完成したスキルを持てたなら、今度はそれを上手に使いこなす音楽性やセンスを磨くべき。ただ巧いだけで印象に残らない若いプレイヤーが多いのは、そこに原因がある。

凄腕の女子高生ドラマーとして話題をさらった千里ちゃんも、かつてはそうしたキッズたちの先陣だった。けれど今は良き理解者を得て、自分の音楽をシッカリ奏で始めている。そこが何より尊いのだ。