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3ヶ月前に初めて会ったばかりなのに、ふと気づくと 何故か “チーム今井優子” という名の応援団的取り巻きスタッフに組み込まれているカナザワ。今日はその今井優子のアコースティック・ライヴ@西荻窪Terra。50人も入ればイッパイの小さなライヴハウスながら、四人囃子周辺や伊藤銀次さんも出演されているというコトで、ちょっと気になっていたハコだ。今回は関係者としてサウンド・チェックから立ち会ったが、音は上々、優子嬢の声もよく出ていて、本番が楽しみになった。ちなみに今日は満員御礼のソールド・アウト、立ち見もチラホラ…という盛況ぶりである。

不定期ながら最近は年に何度かライヴをやっている優子嬢。普段はバンド・セットが多いが、今回はドラム&ギターレスの特殊編成。その分、大好きなボサノヴァ・テイストの曲、特に長い間ステージにかけていなかった初期楽曲を多く取り上げよう、というのが、このアコースティック・セットの主旨である。そしてその目的通りに、1stセット前半は彼女の3作目『VOYAGEUR(ヴォアージュ)』(88年)、4作目『殺したいほどTONIGHT』(89年)からチョイスされた。このうち3曲が、この日ライヴを観に来ていた山川恵津子さんのアレンジ。サウンドチェックでベースの吉池さんが、「この曲、詞がエロくてヤベェ…」と呟いてた<惑わせて…>は、何と優子嬢自身のペンでありました(作曲:佐藤準)。そしてベイビー・ヴォイスの声優さんに提供した<Favorite Place>のセルフ・カヴァーを挟んで、1stのハイライトが訪れる。

彼女のFB Friendなら先刻ご存じだと思うが、優子嬢は今月初め、目に入れても痛くないほどに溺愛していた愛猫を看取ったばかりで…。だからすぐ直前まで涙・涙の日々を送っていて、このライヴに向け、ようやく気力を振り絞り…、という状況だった。この場面で歌われたのは、彼女がペット・ロスに苦しむ人たちを慰めようと08年に書き下ろし、ジワジワと人気が広がってUSENインディーズ・チャート2位を記録(2012年)した<ボクが傍にいるから…>。つまり、同胞たちを癒すつもりで作った曲が、今度は彼女自身に降りかかってきたのだ。実際数日前のリハーサルでは、感極まってしまう場面もあったそう。それでも午後イチのサウンド・チェックでは何とかスルーし、さて本番は……









う〜ん、最初のサビの終わりで、ちょっとだけ声を詰まらせてしまいましたね… オーディエンスにもきっと事情を知ってる人が多いのだろう、女性ファンには思わずもらい涙をこぼしていた人も…。でもそこは自称 “メンタルは強い” と言う優子嬢、気丈にも立ち直って、後半はシッカリ体制を立て直した。さすが実力派、である。客席からは惜しみのない温かな拍手が送られたが、バックステージでカナザワと顔を合わせるや否や、「泣いちゃった…。絶対泣かないって決めてたのにィィ〜〜〜」 それでもはにかんだ笑顔で照れ隠ししていたので、“大丈夫!気分転換できてるな” と安心した。

では、こうした時の状況を、クリティカルな目でどう判断するか。これは難しい問題である。もちろん可哀想そうだと思っているし、同情もしている。でもそれは、友達、仕事仲間としての目線。ステージに上がった以上、プロとして人前に立っているのだから、プライヴェートなトラブルは排除しなくてはならない。例えば、悲しいことで泣き崩れ まったく歌えなくなってしまうなら、最初からステージに上がるな!ということだ。でもそこを持ち堪えて、感情がビンビンに詰まった歌を歌えたら、100%の実力が120%, 150%にも増幅される。聴いている人は当然感動するだろう。常に100%の力を発揮するのがプロだが、こういう不意に訪れた危機的状況でこそ、その真価が分かる。もちろんオーディエンスが10人だろうと、100人だろうと、1万人だろうと関係はない。そしてこの時の今井優子は、そのギリギリの際を自分の力で踏み止まり、プロ・シンガーとしての矜持を示した。楽屋口で自分に見せた ハニカミ顏は、そこにいた聴き手の中で、スタッフ然としたカナザワが、実は一番ウルサい批評家でもあることを彼女が分かっていたからだろう。

2nd Setは、現在は入手困難になっているミニ・アルバム『I WISH...』(07年)からのナンバーを中心に、アコースティック編成の中にも少しアッパーな感じで。最近の後追いファンには馴染みが薄い作品かもしれないが、コレは結構な好盤です そして彼女の大好きなラテン・フィールの<I Wish>で、客席も楽しくアゲアゲに。ココでメンバー紹介を兼ねた短いソロ廻しも披露され、大いに盛り上がった。優子嬢がキュートに振っていたミニ・マラカスは、直前のサウンド・チェックでカナザワが「この曲調では鳴りモノが足りないから、シェイカーでも振ってみたら…?」と提案したのがキッカケでした。

本編ラストは、最新ベスト盤に新録曲として収められた松原みきのカヴァー<真夜中のドア(Stay With Me)>へ。優子嬢が女学生の頃からのカラオケ定番だ。でもこの曲は最近また人気が再燃してきてて、去年彼女が歌った後にも他のシンガーが取り上げるなど、強力な磁場を放ち続けている。だから優子嬢のヴァージョンも、単にベスト盤の新録曲に止まらず、コレで何か画策できないものか?とアイディアを捻り出しているところ。そしてアンコールは、90年代初頭にドラマ主題歌となったカヴァー曲<Loving You>を、サラリとしたボサ・スタイルで。コンスタントなライヴ活動はやってない彼女なのに、声のピッチは乱れないし、伸びもなかなか。優子嬢のナマの歌声をライヴで聴くのはこの日が初めてだったカナザワだが、この歌声はもっと広めていかないとと思いを新たにさせられた。

さて、次回の今井優子ライヴは、6月の銀座ケネディ・ハウス。下にフライヤーを貼っておくので、どうぞ奮ってご参加ください。

◆SET LIST◆
〜1st 〜
1. あなたのいた景色
2. HOTEL TWILIGHT
3. 殺したいほどTonight
4. 惑わせて…
5. Favorite Place
6. ボクが傍にいるから…
〜2nd〜
1. For Oneself
2. Puzzle
3. 星空の偶然
4. I Wish...
5. 真夜中のドア(Stay With Me)
〜Encour〜
1. Lovi'n You

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