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ポール・マッカートニーのアーカイヴ・コレクション第10弾『FLOWERS IN THE DIRT』。2017年リマスターの2枚組スペシャル・エディションの発売から遅れること1ヶ月あまり。ようやくCD3枚組+DVDのデラックス・エディションが届き、今日やっと封を開けた。ぶっちゃけこのシリーズのデモ集は、大抵は内容をチェックしたらもう次はいつ聴くか分からずで、映像なんて “いつ観るの?” 状態。だから実際は、スペシャル・エディションで充分コトが足りると思っている。でもこれまでのシリーズ9枚、すべて国内デラックス版で揃えちゃった手前、高価でも今更止められなくなっているのヨ ま、ビートルズは自分のルーツであるから、関連作へのお布施は惜しまないと決めているのでイイのだが…(←と、自分に言い聞かせている)

ただ最近のボックスに関しては、少々ネタの薄い作品も出てきてて…。作品的にも『McCARTNEY 2』以降はジワジワ下降の一途。スティーヴィー・ワンダーとの<Ebony & Ivory>、マイケル・ジャクソンとの<Say Say Say>、そして映画『ヤァ、ブロードストリート』など、話題やヒットは多かったが、アルバムとしての作品力は低迷し、前作『PRESS TO PLAY』で底をついた感があった。

なので当時から、久々にポールらしい復活作として人気が高かった本作。とりわけ、エルヴィス・コステロとのコラボレイトが評判良く、ジョン・レノン以来の名パートナー登場との呼び声もあった。まぁ単純に “ジョンの代役” と言ってしまうのは乱暴だが、互いに刺激を受けたのは確かなようで、コステロもこの時期に代表作『SPIKE』を形にし、共作曲<Veronica>をヒットさせている。一方で、失敗に終わったデヴィッド・フォスターとの共同作業(84年12月)からは、デヴィッド・ギルモアのリード・ギターも印象的な<We Got Married>を収録。フォスターによれば10回ほどスタジオ入りしたそうで、その時に4曲が録られたという記録も。フォスターはすでにジョージやリンゴとの共演歴を持ち、特にジョージには重用された時期もあったのに、「自分が萎縮して、ポールに適切な指示を出せなかった」と述懐している。

それでも2017年リマスターで久々に聴く『FLOWERS IN THE DIRT』は、なかなか新鮮。ポールを聴く時は大抵ソロ初期かウイングス時代になってしまうが、コステロ共演に加えてヘイミッシュ・スチュアートやロビー・マッキントッシュらを迎えたバンドの充実も後押ししたのだろう。ウイングス全盛期を髣髴させるハツラツとしたポールがココにいる。

加えて、2枚のデモ集が強力で。ディスク2はコステロと共作した9曲の初期デモで、アコギやピアノのシンプルな伴奏に2人のヴォーカルが乗る。このハーモニーがなかなか熱く、ポールも俄然本気になったのだろう。しかも『FLOWERS IN THE DIRT』に入っている楽曲のデモは、わずか4曲のみ。他はコステロで世に出たり、ポールの次作『OFF THE GRIOUND』で世に出たり。そして完全未発表曲も2曲あり、更にデラックス版のみ収録のシークレット・トラックまで入っている。

ディスク3は、そのディスク2収録曲を丸々バンド・ヴァージョンに置き換えたシロモノ。つまり完成ヴァージョンに近づいたワケで、デモ楽曲が進化していくプロセスを同じ曲順で段階的に研究できる趣向だ。中には編成だけでなく、キーを変えた曲もあってテンション倍増。コステロとのコラボ以外の楽曲がオミットされてしまったのは残念だが、これはこれでボックスならではの楽しみ方と言える。

大型連休はどうも締め切りラッシュで、DVDはしばらく観られないっぽい。でもそれよりも、当初は2枚組の予定だったという『RED ROSE SPEEDWAY』のハコはまだかしらん?