barry mann demo
ゴールデン・ウィークもいよいよ終盤。天気にも恵まれた大型連休だというのに、ひたすら家に籠って原稿書きという我が身… 送られてきた美女や風景の画像で心を癒し…、って、それじゃあチョッと悲しすぎるだろッ でも一方で仕事内容はとても充実していて。キャロル・キングのガイド本用アルバム・レビューに続いては、6月末に臨発予定のバリー・マン&シンシア・ワイル秘蔵デモ音源集の解説を書いている。

まだ情報解禁前で、現時点では邦題も未定だし、詳しい内容やアートワークも公開できない。それでも触りだけお教えしちゃうと、ポジションとしては上掲『SOUL & INSPIRATION』(00年)のヒナ型となったデモ・トラックとプライヴェート音源集に当たる。

いま世にはいくつものマン=ワイル・ソングブック的編集盤が出回っているけれど、それはほとんど楽曲提供先アーティストの音源を掻き集めて収録したもの。バリー自身の歌が聴けるモノは、60〜70年代に出した『LAY IT ALL OUT』や『SURVIVOR』など4枚のリーダー作を除くと、ゲストも豪華だった先の新録セルフ・カヴァー集しかなかった。でも今度登場するのは、その元ネタとでもいうべき、バリー秘蔵の60年代録音の真正デモと、90年代前半に宅録した(ほぼ)弾き語りの音源集なのだ。

それだけでも世にいるバリー・ファンは驚愕されると思う。けれど、もっともカナザワを感激させたのはその先だ。何と、クインシー・ジョーンズ、セルジオ・メンデスでそれぞれ大ヒットしたマン=ワイルの名バラードが、オリジナル・デモで聴けるのである。しかも普段はバリー自身がデモ・シンガーを務めるのに、これはクインシーの秘蔵っ子と言われて世に出る某男性シンガーが、無名時代にデモ・シンガーを務めている。すなわち、“クインシーの秘蔵っ子” を最初にクインシーに引き合わせたのは、バリー&シンシアだったのだ。そしてセル・メンのヒット曲として知られるバラード・ヒットも、同じシンガーがデモ録音していた。これを聴くと、なるほど セル・メン完成版の歌が “クインシーの秘蔵っ子” に酷似していた理由が分かる。更にまだ誰も録音してないという、比較的新しいデモ楽曲もありーの、で

アルバム・プロデュースは、『SOUL & INSPIRATION』と同じフレッド・モーリン。この音源を90年代半ばにバリーから聴かされた彼は、それを作品に昇華させるべく奔走し、ゲストを迎えて新録『SOUL & INSPIRATION』として完成させた。そして今回は、その元ネタをアルバムにまとめたワケ。彼の熱意がなければ、この音源集は陽の目を見なかっただろう。バリー&シンシア、そして我が友フレッド・モーリンに乾杯

なお執筆中の解説は、ブリル・ビルディング時代を長門芳郎さん、AOR/コンテンポラリー期をカナザワというダブル・キャストになります。それまでは、まず『SOUL & INSPIRATION』で予習をば。