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facebookに速報を上げた通り、日本のセッション・シーンを長きに渡って支え続けてきた職人中の職人ギタリスト:松木恒秀が、18日(日)に亡くなった。12年6月のWhat is Hip(松木のリーダー・バンド)のステージで出演中に倒れ、ガンが発覚。その後一度は復帰し、What is Hip Conclusion で新宿ピットインのステージに立ったり、竹内まりやのスタジオ・ライヴ・レコーディングなどで指揮を取ったが、完全復活とはならなかった。享年68歳。

カナザワが松木さんのギターを意識して聴いたのは、やはり山下達郎さんのアルバム『GO AHEAD』だった。今でも松木さんの歌伴最高傑作は達郎氏のライヴ盤『IT'S A POPPIN' TIME』と信じて疑わないし、今回の追悼ポストもどちらにしようか、思い悩んだほど。もちろん当時の吉田美奈子、大貫妙子などなど、楽曲単位の名演は数知れない。

ただ松木さんのキャリアを考えると、プロ・キャリアの始点といえる稲垣次郎 &ソウル・メディアなど、和ジャズ方面での活動はもっと認知されるべきだと思うし、その流れを汲む鈴木宏昌&コルゲン・バンド、そしてJ-フュージョン黎明期を牽引したコルゲン・バンドの進化系:ザ・プレイヤーズの存在も忘れられない(上掲作はTHE PLAYERSの2nd/80年作)。そもそも初代 What is Hip!(松木、野力、岡沢章、渡嘉敷祐一)も、コルゲンさん亡き後のザ・プレイヤーズが母体なワケだし。

最近の歌モノでは、阿川泰子やケイコ・リーとの共演もありつつ、やはり高田みち子との関係が重要だろう。04年以降、彼女の3枚のアルバムのプロデュース/アレンジを務め、総合アドヴァイザー的立場にいた。カナザワが松木さんと何度か会ったのも、この高田みち子嬢の絡み。彼女はWhat is Hip!のライヴ@新宿ピットインの時、準レギュラー的に出演していたのだ。その時 みち子嬢のスタッフに松木さんを紹介され…。数々の武勇伝を持つ方だけにチョッと緊張したが、物腰は低く丁寧。カナザワの素性を知ると、「みち子がお世話になってるんですね。これからもヨロシクお願いしますワ」と柔和な笑顔を向けていただいた。しかしガッチリ握手したその手は、痛いほどに力が籠っていて、「この野郎、舐めたコトするんじゃネェぞ」と釘を刺されているかのようで… よく見れば、優しそうな笑顔の奥で目だけは笑っておらず、刺すような目ヂカラを感じた次第。

業界では「怖い人」というイメージが先行している松木さんだけど、この手の方は、礼儀と節度を持って真摯に接すれば、案外シッカリと受け止めてくれるのは、経験上分かっていた。要は曲がったコト、筋の通らないコトが嫌いで、感情表現が武骨なだけなのだ。いつか何処かでシッカリ話してみたい、そんなことを思っていたが、とうとう叶わなくなってしまった。

ザ・プレイヤーズを始め、松木さんの名が通ってからの仕事の多くは、大抵CDで楽しめる。最近は、ソウル・メディアのような初期ワークスやトゥーツ・シールマンスとの『KALEIDOSCOPE』などのレア作品も手に入れやすくなった。そして名セッション・ギタリスト8人の共演作『NEW YORK』からは、大村憲司、松原正樹、矢島賢に次いで4人目の物故になる。和製エリック・ゲイルと言われたが、和田アキラの師匠でもあり、意外にハードな面も隠し持ってた人。その名演の数々を、いま改めてチェックしなければ…。

Rest In Peace...

ザ・プレイヤーズ 各アルバム(タワーレコード限定)