nanako_1nanako_2
カナザワ監修Light Mellow和モノ・オリジナル・アルバム・リイシュー。今回の登場は、元祖渋谷系、ユニークなウィスパーリング・ヴォイスの持ち主としてリスペクトされる女性シンガー・シングライター、佐藤奈々子のコロムビア期の作品4枚。ちょうど今年は奈々子のデビュー40周年アニヴァーサリーでもある。そこでまず今日は、共に77年に発表されたデビュー作『Funny Walkin’』と2nd『SWEET SWINGIN’』をピックアップ。

デビュー前の佐野元春から曲作りの面白さを教えられた彼女だが、学生たちが主催した『女性だけのシンガー・ソングライター・コンテスト』に賞を受けたことから、佐野より先にデビューのチャンスが巡ってきた。それが77年6月発売の『Funny Walkin’』。作曲は佐野元春とのコラボレイト、アレンジは大野雄二、参加ミュージシャンには、松木恒秀/杉本喜代志(g)、高水健司(b)、市原康(ds)といった大野人脈のジャズ系と、林立夫(ds)や後藤次利(b)、徳武弘文(g)、斎藤ノブ(perc)といったポップ・ロック畑のプレイヤーが混在している。コーラス陣はタイム・ファイブとシンガーズ・スリー。奈々子の中で4ビート・ジャズには親しんでいたが、16ビートの感覚はなく、そこはちょっと苦労したとか。

でもこのアルバムの特徴は、マリア・マルダーを髣髴させるラグタイムやアメリカン・ルーツ・ミュージックのエッセンスを取り込んだこと。本格的に活動を始め、音楽への愛情も飛躍的に深まった。プロモーションのため自分のバンドで全国津々浦々を回ったが、大変という感覚はなく、ただ楽しんでいたという。佐野の影響でビートニクを知り、ジャック・ケルアック『地下街の人びと(原題The Subterraneans)』を読んで書いたのが、いまレア・グルーヴ人気の<サブタレニアン二人ぼっち>。<夜のイサドラ>は、伝説的ダンサー:イサドラ・ダンカンを歌っている。奈々子さん曰く、”20歳頃のキラキラ感が、そのまま詰め込まれた作品” が、この1作目だそうだ。

対してセクシーなジャケにドキッとさせられるのが、77年12月末に発売された『SWEET SWINGIN’』。作曲は前作同様に佐野=奈々子のコンビながら、プロデュースはジャズ・ギタリストの横内章次にスイッチした。曲名通りに<グッド・タイム・スウィンギン>でノスタルジックに幕を開けるが、前作路線はコレだけで、レイジー・ミディアム<ラズベリー・ラヴァー>、ジャジーな<スリーピー・コール>など、儚なげな歌声と甘美なメロディ、都会的洗練をはらんだアレンジが作品の骨格を成す。また<ハリー・ブギー>や<チープ・ダンス>ではカントリー・タッチの新味を打ち出し、<ミューズの恋人>は大きなスケール感で仕上げた。ご本人のお気に入りは、トロけんばかりのメロウ・ボッサ<フェアウェル・パーティ>、そして<週末のハイウェイ>や一番ジャズっぽい<イヴの月の上で>。<海に浮かぶピアノ>はアン・サリーのカヴァーが大好きだそうだ。

1枚目ではオールド・タイミーなジャジー・ポップが中心だったが、ここではジャズメンを従えつつ時代の息吹きを絡めたシティ・サウンドがメイン。わずか半年のインターバルなのに、シーンの音は急速に動いていた。今回はアルバム未収シングルなど、2曲をボーナス収録している。