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北欧スウェーデン発の3人組アーバン・サウンド・ユニット:ソウェコから、約1年半ぶりとなる2ndアルバム『KEEP ON』が届いた。日本デビュー作『ONLY YOU』の発売は、昨16年1月。まったく無名のニュー・カマーだったが、その洒脱な都会派グルーヴ・サウンドで、AORファンからインコグニートなどのアシッド・ジャズ・ファンまで幅広く音楽ファンの支持を集め、ズブの新人にしてはそこそこのリアクションを得ることができた。

で、この2ndだが、これにはチョッと曰くがある。実は、このユニットがスタートした翌年の2012年に自主制作で作ったアルバム『DON’T HIDE YOUR LOVE』があるのだが、それを大胆に改作し、新しい楽曲を追加収録したのが、この『KEEP ON』なのだ。だからホントは3作目なのだが、彼らのwebsiteでは『DON’T HIDE YOUR LOVE』は既になかったコトにされ、『ONLY YOU』が1stと紹介されている。

だから今作収録曲の大部分は、『ONLY YOU』よりも前に書いたもの。それを現在の自分たちのスタイルで表現したかった、と言うのだ。
「ボビー・コールドウェル、アル・ジャロウ、TOTO、デヴィッド・フォスターなどの影響を受けた、カリフォルニア産ウエストコースト風味のアルバムにしたかったんだ。タイトル曲<Keep On>と<By The Sea>だけが新しく2016年に書いたもので、他の曲とはちょっと違う趣きかもしれない」

初めてのアルバム『DON’T HIDE YOUR LOVE』を作った時、彼らには『ONLY YOU』のようなクオリティの作品に仕上げる経験も技術もなかった。でもそれから多くの経験を積み、今なら納得できる作品が作れる。だから『DON’T HIDE YOUR LOVE』にセカンド・チャンスを与えてもいいかな、と思ったそうだ。それだけ彼らには好きな曲、大切な曲が入っていた。だからそれを正しい形、あるべき姿にするため、ほとんどの楽器を録り直したのだという。

メンバーは「デヴィッド・フォスター〜エアプレイ路線のサウンドを作りたいというのが当時の僕らのテンプレートだった」というが、実際はそれほどエアプレイ色が強いワケではない。リズムがR&B寄りの楽曲は、むしろスティーリー・ダンを髣髴させたりする。でもアル・ジャロウのように、フォスターやジェイ・グレイドンのプロデュース・ワークまでを視野に入れて聴くと、なるほど!と思える瞬間がアチコチに。シェリル・リン張りのスウェイ・ビートを使った<Lucky Charm>は、最もティピカルな例だろう。マリオ・ビオンディを思い出させるコク深いヴォーカルは、もはやソウェコのオリジナリティとして確立している。それでいて、前作『ONLY YOU』よりも僅かにポップ寄りなところが、ウエストコースト・スタイルからのインフルエンスだろう。

「実際、セカンド・チャンスに値するアルバムになったと感じているよ。だからタイトルも『KEEP ON』に変えたんだ。こうして僕らは『DON’T HIDE YOUR LOVE』に収められた “デモ録音” を、過去に置いてゆくことができたのさ」