jim messina
あちゃー、また91年盤と同じく、イラストの周りの縁取りをトリミングしてしまったのね。『MESSINA』の表記をアナログ・ジャケの位置からズラしているので、CDではコレがデフォルトなのかも知れないけど、ココはやっぱりオリジナル・ジャケに戻してほしかったな。…というワケで、今日もワーナー・ジャパン【WEST COAST 1300 COLLECTION】から、カナザワ解説執筆ネタで、元ロギンス&メッシーナのジム・メッシーナ、81年発表の2ndソロ。

ジム・メッシーナというと、トロピカル・ムードいっぱいで、なおかつ名メロウ・フローター<Seeing You>が収録されている1st『OASIS』が代表作ということになっている。でも後続作が駄作かというとそんなコトはなく、この2ndはよりアメリカン・スタイルの秀作だったし、少しカントリー・テイストが濃かった3rdにも、トロケんばかりの甘美なスロウ・ナンバーが入っていた。

特にこの2作目の特徴は、リズム・アプローチが明らかに深化していること。16ビート中心の軽いノリの楽曲が多かった1stとは違い、グルーヴ自体がカラフルになって表現にヴァリエーションがついた。スターター<Money Alone>はファンキーで力強いグルーヴを持っているし、<Sweet Love>はいわゆるボ・ディドリー・ビートのコンテンポラリー解釈。サンバ・フィールの<Break The Chain>、ホーンやパーカッションを導入したサルサ調の<Lovin’ You Every Minute>、アラパチアン・ミュージック色濃厚な<Whispering Waters>なんて辺りも面白い。この辺を追求していたら、ジムも今頃はライ・クーダーやポール・サイモンのようなポジションにいたかも。<It’s Alright Here>は、畳み込むようなビートのロック・チューンである。

それでもハイライトは、ポーリン・ウィルソンとのデュエット<Stay The Night>だろう。ポーリンはシーウインドの看板シンガーとしてお馴染みだが、本作が出た81年はポーリンには激動の年。シーウインドのリーダー:ボブ・ウィルソンとのGPスペル・デュオ策を出したと思ったら、直後に夫婦仲がこじれ、翌年離婚。録音中だったシーウインド5作目も棚上げされ…、とそんな状況だった。この熱烈デュエットがどのタイミングで録られたかは分からないが、ポーリンにしてみたら、ジムを頼って危機的状況から脱したい、そんな気分だったのかも知れない。

そして最後は、ややゴスペルチックな響きを持つバラード<Move Into Your Heart>でクロージング。この曲のクワイアー張りのコーラスが象徴するように、ハーモニー・ワークの充実は本作の大きな特徴でもある。『OASIS』だけがジム・メッシーナじゃない!というのことは、声を大にして伝えたいな。