ken yajima
昨日のプリズムと同じく、ワーナージャパン【J-FUSION 40th ANNIVERSARY COLLECTION】シリーズから、今月、待望の初CD化となった矢島賢&ヴィジョンズの『REALIZE』をピックアップ。他にも茂木由多加(元・四人囃子)やセッション・キーボード奏者:乾裕樹、キャンディ浅田らの初CD化があるし、ナベサダや松岡直也の一連のリイシューもあるけれど、カナザワ的には昨日/今日ご紹介の2枚にトドメを刺す。

さてこの矢島賢は、70年代からスタジオ・シーンで活躍したギタリスト。それこそ山口百恵、野口五郎、中森明菜、松田聖子などの歌謡曲から、アリスや佐野元春などのニューミュージック/ポップス系まで幅広くサポート。かの長渕剛からは、“唯一頭が上がらないソロ・ギタリスト”と呼ばれるほど、厚い信頼を置かれていた。

このアルバムは、82年にリリースされた矢島のワン&オンリーのリーダー作品。メンバーは矢島マキ(kyd/旧姓:田代)、美久月千春(b)、トニー木庭(ds)で、プリズムにも近いスリリングなプログレ・フュージョンを聴かせる。ただしプリズムが純音楽的でクロスオーヴァー・テイストなのに対し、コレは絵画的というか非常にコンセプチュアルかつイマジネイティヴで、緻密なロック・インストゥルメンタルの趣き。実際、楽曲ごとにストーリーがあり、それが封入されていた。時に笑っちゃうほどピンク・フロイド〜デイヴ・ギルモアっぽくなるけれど、そこはセッション・ギタリスト、曲調もギター・スキルも多彩で、フロイドのように一本調子に陥ることはない。

当時のセッション・ミュージシャンのソロ作というと、大抵はフュージョンかポップ寄りの歌モノに行くのが常だったが、こういうプログレちっくなロック・インストへ駒を進めた例は少なく、当時から大変興味深く聴いた。おそらく硬派なフュージョン・ファンからはそれなりに注目されたと思うが、やはりセールスは厳しかったのだろう、結局ヴィジョンズはコレ1一枚で瓦解。ドラムのトニー木庭は、家業を継ぐため程なくして引退している。矢島自身も15年4月に死去。改めて、Rest in Peace...