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甘いクルーナー・ヴォイスを聴かせるミスター・ブルーことマイケル・ジョンソンが、米国時間25日、ミネアポリスの自宅で亡くなった。心臓を長く患い、07年には数回のバイパス手術を受けたほど。それでも闘病しながら断続的に活動を行っていて、アルバムを作ったりライヴを行ってきた。最新作は12年作『Moonlit Deja Vu』。享年72歳。

マイケル・ジョンソンというと、まずは全米12位/アダルト・コンテンポラリー・チャート首位になった<Bluer Than Blue>収録の78年作『THE MICHAEL JOHNSON ALBUM』、そしてビル・ラバウンティ作<This Night Won't Last Forever>が全米19位をマークした翌79年作『DIALOGUE』が代表作に挙げられる。でも後続作もそれぞれに魅力的で、EMI Americaでの5作、つまり上記2作+この『YOU CAN CALL ME BLUE』(80年)、『HOME FREE』(81年)、『LIFETIME GURANTEE』(83年)に駄作ナシ。

日本ではアトコからのデビュー作『THERE IS A BREEZE』(73年)もシンガー・ソングライター・ファンに人気があって、何度も再発を繰り返しており、一般洋楽ファンにはむしろそちら方が馴染みがあるかも。でもAOR好きには、初期作なら自主レーベル:サンスクリットから出ている通算3作目『AIN'T DIS DA LIFE』(77年)を強力リコメンド。ケニー・ランキンにも似たアコースティック・サウンドながら、ケニーのようなテンションはなく、何処までも優しく甘美。同じアコギでもマイケルはナイロン弦のガット・ギターの名手なので、音が柔らかなのだ。

EMIに移ってからの大きな変化は作曲陣。マイケルは元々あまり曲を書かない人らしいが、移籍後はビル・ラバウンティやランディ・グッドラム、トム・スノウといったお気に入りのソングライターの曲を歌うようになった。このアルバムも、その3人に加えてアンディ・ゴールドマーク、エリック・カズ(トム・スノウとの共作)、ロバート・バーン、そしてマイケル・マクドナルドの楽曲をピックアップ。スノウがディーン・ピッチフォード(映画『FOOTLOOSE』でお馴染み)と共作した<You, You, You>は、かの名番組『BEST HIT USA』の “Star Of the Week” のテーマ曲に使われている。

EMIを離れてからはフォーク/カントリー色を強め、なおかつ寡作になってしまうが、アルバムには必ずと言っていいほどAORっぽい曲が入っていて…。いずれせよ、逝くにはちょっと早すぎるでしょう?

Rest in Peace...