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2日に発売された【AOR CITY 2017】前期48作から、カナザワ的リコメンドを順次ご紹介していこう。まず今日は、比較的新しい89年の作品で、ポコの再結成盤『LEGACY』。70年代にエピックやABCから出た作品群は何度となくリイシューされたが、オンタイムでCDが出た本作は、世界的に初めての復刻かもしれない。

ポコのパブリック・イメージは、ご存知のようにカントリー・ロック。バッファロー・スプリングフィールドの解散に際し、主要メンバーだったリッチー・フューレイと末期に参加したジム・メッシーナが共謀し、ペダル・スティールのスペシャリストとしてセッション参加したことがあるラスティ・ヤングを加えてバンド結成を画策したのが始まりだ。オリジナル・メンバーですぐ脱退してしまったランディ・マイズナー、その後任を務めたティモシー・シュミットと、2人のイーグルス・メンバーを輩出したことでポコを知った人も少なくないだろう。

69年にデビューし、メンバー交替しながらも80年代半ばまでコンスタントに活動を続けた彼らだったが、唯一残っていたラスティ、71年加入で全盛期を支えたポール・コットンが袂を分けたのがキッカケで、心機一転、創設時の顔ぶれが揃うことになった。すなわちラスティ、ジム、ランディー、リッチー、ジョージ・グランサムの5人である。しかもこのラインナップでアルバムを完成させたのは初めて。だってランディは、デビュー作完成前に抜けてしまったのだから。この89年リユニオンの最大の話題が、ランディとジムのポコ復帰劇であった。

アルバムのプロデュースは、キャピトル専属エンジニアから身を立て、ボブ・シーガーやスティーヴ・ミラー・バンド、ボブ・ウェルチ、ジュース・ニュートン、ディオンヌ・ワーウィック、メイズらを幅広く手掛けたデヴィッド・コール。とりわけ当時は全米No.1ヒットを連発していたリチャード・マークスとの蜜月期で、ココでも<Nothin’ To Hide>がリチャードの作編曲/プロデュースに拠る。

この再編ポコの売りは、フロント4人が歌えること。だからリード・ヴォーカルを仲良く分け合い、爽やかながらも厚く伸びやかなハーモニーを聴かせてくれる。中でも甘酸っぱいラスティの歌声が胸きゅんモノ。軽やかなギター・カッティングでAORテイストを盛り上げる<Call It Love>が全米18位、アダルト・コンテンポラリー・チャート2位を記録。コレは拙選曲・監修『LIGHT MELLOW SEALINE』でもオープニングに使わせてもらった。また同じくラスティが歌う<What Do People Know>も、A.C.チャート24位と小ヒット。どことなくイーグルス<Take It To The Limit>を髣髴させる<Nothin’ To Hide>も全米トップ40入りし、AC10位をマークした。

時代が時代だけにカントリー色は薄く、トラディショナルな楽器が鳴る程度。ハッキリしたクレジットはないが、ジェフ・ポーカロ、リー・スカラー、ビル・ペイン、ジョー・シャーメイ、ゲイリー・マラバー、ポウリーニョ・ダ・コスタらが演奏面でサポートしたようだ。そうなれば、当然AORに近いモノになる。その後このアルバムを引っさげての日本ツアーも行われたが、さすがにこのラインナップは長続きせず、蚊帳の外に置かれたポール・コットンが復帰し現在も活動中。でも正直、もう本作の頃みたいなインパクトは求め得ないんだよな…