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昨日のポストに引き続き、2日に発売された【AOR CITY 2017】前期48作から、カナザワ的リコメンドをご紹介。今回は前期では数少ない世界初CD化作品から、大御所ポール・アンカの78年作『LISTEN TO YOUR HEART(愛の旋律 [しらべ])』を。

ポール・アンカといえば一般的に<Diana>の人であり、ハリウッドあたりの大物エンターテイナーというイメージが強い。AORとして語られるようになったのも、デヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドン、マイケル・マクドナルド、ピーター・セテラらが参加した83年作『WALK A FINE LINE』からだ(昨年シリーズで発売済み)。しかしポールの作品を遡ると、77年頃からL.A.のスタジオ人脈を頼っていて、フォスターは77年作『THE MUSIC MAN』のセッションからポール作品に参加している。カナダ人のフォスターがグリーンカードを取得できたのも、同郷のスター:ポールが政府高官に手を回してくれたから。自家用ジェットを貸したり、ハリウッドの社交マナーを教えるなど、ポールは駆け出し時代のフォスターの大恩人なのだ。しかもセッション・プレイヤーでしかなかったフォスターに作曲を勧め、実際に手解きしたのもポールであった。

でもそんなポールも、60年代後半以降はしばらくチャートで不遇を託つていた。ようやく再浮上のキッカケを掴み、古巣RCAに復帰を果たしたのが、このアルバムである。プロデューサーは、エンターテイメント・カンパニーのデヴィッド・ウルファート。つい先日もグレン・キャンベルのところでエンターテイメントCo.の名が出たが、バーブラ・ストライサンドやドリー・パートン、グラディス・ナイト、ダスティ・スプリングフィールド、シェリル・ラッドなど、ココに絡んだ著名シンガーは少なくない。

参加ミュージシャンも、ジェイ・グレイドン(g)、エド・グリーン(ds)、ニール・ラーセン(kyd)、レニー・カストロ(perc)、レニー・ピケット(lyricon)、トム・サヴィアーノ(sax)、ニック・デカロ(strings arr)など、なかなか豪華。肝心のフォスターはスケジュールの都合か、曲作りで絡んでいるだけで、演奏はしていない。それでも、マニア垂涎のリッチー・スナイダー、フリーソウル方面で知名度を上げたボビー・ホワイトサイド、無名時代のロバート・テッパーらの楽曲を取り上げるあたり、ポールの目利きは確か。サウンド的にはまだまだMOR(Middle Of the Road)路線だが、エピローグにはジュディ・コリンズやミュージカル『 FAME』で歌われているブルース・ロバーツ<Starmaker>で締め括っている。

元々本作は、今回同発される『HEADLINE』が2010年に紙ジャケ化された時に、一緒にCD化を目論んだモノ。この2枚は内容的に姉妹作といえるが、その時は何故か『HEADLINE』の方しかゴー・サインが下りなかった。でも今回は念願叶っての揃い踏み。フォスターの成長過程をシッカリ押さえたい方なら、ポール・アンカのこの2枚は外せないよ。