ikkubal_skyline
今日は【AOR CITY 2017】の関係で、イラストレーターの永井博さんに取材。これまでジックリお話しする機会がなかったので、大瀧詠一『ロング・バケーション』に始まり、最近のAOR/シティ・ポップスのムーヴメントに至るまで、氏のイラストがが果たした役割などを探った。青い空、海、プール、ヤシの木、パームツリー、アメ車などが定番モチーフとしてお馴染みだけれど、以前はアーティストの肖像画なども書いていて、近頃ではサニー・デイ・サーヴィスやKASHIFらのジャケットを手掛けているのも話題だ。その永井さんからインタビュー場所に指定されたのが、青山CAY。この日はイックバルの来日公演千秋楽があり、永井さんがDJで参戦するのだ。

現行シティ・ポップスに明るい方ならとうにチェック済みだろうが、このイックバル(IKKUBARU)は、山下達郎や角松敏生など、主に80年代の日本のシティ・ポップスを独自の解釈で進化させたインドネシアの4人組。既にEP2枚、フル・アルバム1枚をリリースし、3度の日本ツアーを成功させている。今回はbwpとファンキーへッドライツがフロントアクトを務め、 DJとして永井さん、DJナガタツ(山下達郎さんのコスプレで達郎関連音源をかけまくる)が絡むイベント仕様のライヴ。その待ち時間中に取材を、という流れだ。しかもイックバルのゲストには、彼らがレコーディングに参加した脇田もなりチャンも。「アレまぁ、久しぶり」と言葉を交わしていると、他にもノーナ・リーヴス西寺郷太さんやら、先日イベントでご一緒したパイド・パイパー・ハウス:長門芳郎さんなど、顔見知りのアーティスト、音楽関係者が続々でビックリ。それだけ注目されているワケである。

インタビュー後、永井さんのソウル7インチ・コレクター道まっしぐらのDJタイムを堪能し、そのままイックバルのライヴを初観戦。アルバムは持っているが、この日はライヴ会場限定のCDシングル<SKYLINE>をゲット。日本語の歌詞を載せたキャッチーで耳馴染みの良いメロディに、思わず悶絶した。音作りはまさに、全盛期シティ・ポップスの空耳的空気感満載。オマケに少しヒネてる日本の現行バンドたちと違って、実に屈託がない。「あぁ、好きなんだねェ〜」と、シティ・ポップス愛が真っ直ぐダイレクトに伝わってきて、何だかあったかな気持ちにさせられてしまう。

ただライヴの方は、まだまだ発展途上。個々のメンバーはそれなりの演奏スキルを持っているようだけれど、全員の音が一遍に前へ前へ迫り出してきて、耳のメーターが振り切れっぱなし。引きの美学に欠けるから、ほとんど一本調子に聴こえてしまう。kyd不在でPCから音を出していたけれど、シティ・ポップス系バンドとしての致命的欠点が、現段階では「これでいい」と思えてしまう。鍵盤奏者を入れるなら、その前にアンサンブルを整理しておかないとマズイだろ?、というコトだ。スタジオではイイ作品を作っているのに、ライヴ・バンドとしての実力まだまだ。ヴォーカル、ハーモニーの弱さもちょっと気になる。

今が旬の音楽性を持っているし、曲作りのセンスも素晴らしい。だけどライヴがコレでは、同世代以外には支持が広がりにくいだろう。要するに、メンバーに密着し、彼らをライヴ・バンドとして鍛え直すプロデューサー的人物が必要だ。可能性は充分秘めているだけに、その点はポップス後進国にいるハンデを感じざるを得ない。今は先物買いのDJ諸氏やその周辺ファンに注目されているものの、安易にブームに乗ってチヤホヤされると、バンドの将来は逆に危うくなる。ココは日本側スタッフの力量、見識が問われるところ。期待して見ています。