kingtones
【Light Mellow 和モノ】オリジナル・アルバム・リイシュー・シリーズのユニバーサル編第1弾6作品が、いよいよ今週23日の発売。まず最初のご紹介は、14年ぶりの再CD化となるザ・キングトーンズ&マリエの78年作『RESURRECT(銀河からの帰還)』だ。

ザ・キングトーンズといえば、<グッドナイト・ベイビー>の大ヒットを持つ日本のドゥー・ワップ・グループの草分け的存在として知られる。そのキャリアは1960年から続いており、“スカイ・テナー”と呼ばれるシンガー:内田正人が看板になって活動を続けてきた。その長〜いキャリアの中で異色の存在といえるのが、シティ・ポップスに挑戦した本作。とりわけ、かの山下達郎が3曲楽曲提供した隠れ名盤として、タツロー・ファンには欠かせない作品と言える。

その3曲とは、<Let's Dance Baby>と<Touch Me Lightly>、そして<My Blue Train>。元々シュガー・ベイブのデビュー曲<Down Town>は、キングトーンズに歌ってもらうことをイメージして書いたそうだから、達郎氏にしてみればノリノリの楽曲提供だったと思うのだ。実際彼は提供曲を大変気に入り、<Let's Dance Baby>を自身3作目のスタジオ作『GO AHEAD』にすぐさま収録。今ではライヴ終盤に絶対欠かせぬハイライト的定番曲として、スッカリお馴染みになった。そして珠玉のスロウ・ソウル・チューン<Touch Me Lightly>は79年作『MOONGLOW』に収められ、コア・ファンに愛されている。でもこの2曲、元々は、このザ・キングトーンズのアルバム用に書かれたモノだったのだ。

この山下楽曲以外を書き下ろし、サウンド・プロデュースを手掛けたのは、ソロ作も出している作編曲:梅垣達志。作詞は全曲、歌謡曲系の大御所:吉岡治で、“銀河からの帰還”というコンセプトも彼が持ち込んだそうだ。梅垣はCharの<気絶するほど悩ましい>を筆頭に、岩崎良美や岡田有希子、白鳥英美子、小柳ルミ子、紙ふうせん、ブレッド&バターなどの作編曲を手掛け、スタジオ・シンガーとしても活躍していた。また看板にもあるマリエは当時の学生シンガーで、声質がマッチしたので起用したそう。でも共演はコレ1枚きりで、約半年ほど一緒に演っただけだそうだ。

今にして思えば、何故<Let's Dance Baby>をシングルに切らなかったのかと思うが、そこはまだ<グッドナイト・ベイビー>のイメージが強かったのだろう、歌謡路線濃厚な別曲がカットされた。それこそメンバーの主張も通らなかったらしい。かくしてこのアルバムは大した評価も受けず、タツロー人気爆発後になって、ようやく達郎ファンの間で語り草となった。

看板シンガーである内田が病に倒れ、実質的な解散状態にあるザ・キングトーンズだが、シティ・ポップス・ファンであるなら、本作とデビュ−35年記念盤『SOUL MATES』は押さえるべし。何といっても<Down Town>が取り上げられ、佐野元春や高野寛といったポップ職人がこぞって参加しているのだから。