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08年に出した3枚目のカヴァー・アルバム『SOUL SPEAKS』の新曲3曲が良かったので、これはそろそろオリジナル新作?と思いきや、そこから9年も待たされるとは。しかも12年のデュークス・オブ・セプテンバの来日公演では、ドナルド・フェイゲン、ボズ・スキャッグスの2巨頭に比べ、マイケルは喉の劣化が著しく。本来この3人では一番の歌を聴かせる人だったのに…。加えてカヴァー集だのクリスマス集だのと企画作続きで、創作意欲減退?…と不安に思っていた矢、奥様エイミー・ホーランドがカントリー寄りながらもハツラツとしたソロ・アルバムを作って健在ぶりを示し…。そこに突然登場したのが、ケニー・ロギンスと共に客演したサンダーキャット<Show You The Way>。「サンダーキャットって誰?」という方も多かった思うが、逆にサンダーキャットを知るからこそ、あのチームアップには「あり得ん…」と言うしかなかった

でもって世間の度肝を抜いたところにで、コレ。ズバリ、力作と言っていいんじゃないかな? オリジナル・アルバムとしては、何と『BLUE OBSESSION』から16〜17年ぶり。そりゃー全盛期よりは音域が狭くなってたりするかもしれないけど、熱気を孕んだスモーキーな歌声はシッカリ勢いを取り戻し、サウンドもソウルフルに迫ってくる。マイケルといえば、かつては鍵盤のリフで楽曲をリードする極意を広めた人。でも本作では、むしろギターやリズム隊がアンサンブルを牽引していくスタイルの曲が多く、AORというよりはブルー・アイド・ソウル色濃厚。もっと枯れてるかと予想してたら、全然逆で、なかなかにパワフル。あらー、お見それしやした…

メンバーもなかなか豪華で、ギターだけでもロベン・フォード、マイケル・ランドゥ、ダン・ハフにウォーレン・ヘインズ(オールマンBros.〜ガヴァメント・ミュール)等などが揃い踏み。ランドウとダン・ハフがソロを分け合う曲もあって、クレジットは80年風だけど、音は重厚なアメリカン・スタイルだったり。他にもベースでマーカス・ミラー/ウィリー・ウィークス、鍵盤でデヴィッド・ペイチ/スティーヴ・ポーカロ/ラリー・ゴールディングス、ホーン系でトム・スコット/ブランフォード・マルサリス/マイケル・レオンハートなど。アレンジ面ではデヴィッド・フランク(元システム)の名もある。でも音はアーバンではなくR&B寄りで骨太。ボズの近作ほどはブルージーではないが、もしかしたら今のドゥービーには、ビル・ペインよりフィットするかも。

プロデュースはマイケル自身と、ドラマーのシャロン・フォレスト。シャロンはTOTOの現ドラマーとして知った人が多いと思うが、ナッシュヴィルでは90年代からセッション・ドラマーとして鳴らしていて、マイケルとは付き合いも長い。モータウン・カヴァー集でエンジニアを務めたり、クリスマス・アルバムではプロデュースも行なっていたから、既にシッカリ信頼関係を築いた上での今作なのだ。日本的な意味でのAORではないけど、オトナのための良質ロック・アルバムであることに疑いの余地はない。