one line band
ロクに紹介できてなかったけれど、今年も【ビクター和フュージョン】シリーズ、アイテムを提案したり解説を執筆したりと、いろいろ関わっております。発売は8・9・10月の3回で、合計30タイトル。カナザワは12枚ほどライナー書かせて戴きました。今日はその中から9月発売分のワン・ライン・バンドをピックアップ。何かとご縁のある芳野藤丸さんが在籍した、かのSHŌGUNの前身バンドであります。

ワン・ライン・バンドのメンバーは、角田ヒロ&スペース・バンドやジョー山中グループ、西城秀樹のバックなどで活躍したギタリスト:芳野藤丸、ジャズ・コンボ出身で編曲の才高く藤丸同様に西城秀樹のバックを務めたkydの大谷和夫、東京キューバンボーイズやゼロ戦からセッションマンに転じたベースの長岡道夫、ロックからジャズに鞍替えし、ピアニスト市川秀夫のトリオで経験を積んだ技巧派ドラマー:山木秀夫、そしてスタジオ経験豊富なパーカッション奏者でリーダー格の中島御という5人のスタジオ・ミュージシャンたち。

『芳野藤丸自伝』によれば、“いつもスタジオで一緒になるメンバーで、ハワイでレコーディングしない?” と誘われたのがグループ結成のキッカケとか。それでも藤丸曰く「名義こそSHŌGUNではないけれど、自分たちがグループとしてまとまった最初の作品」で、「自分の中ではもうSHŌGUNの一部。前身というより、1stの前にもう1枚あった、みたいな感じ」だという。音もまさにその通りで、ケイシー・ランキン不在の分、SHŌGUNよりも藤丸・大谷和夫色がストレートに出た印象。藤丸作曲=大谷編曲というトラックが半数を占める中、大谷のインスト曲やミッチー長岡のポップ・ファンク・チューンも存在感を示している。

ところがプロモーションを始める前に、早くも『俺たちは天使だ!』の話が入ってきた。当時の日本テレビ音楽のプロデューサー女史が、この音に “日本のTOTO” を感じたのだ。つまり、洗練された大人の音楽で、なおかつ英語ができて米本国へ輸出することができるプロフェッショナルなバンド、を彼女は探していた。そこにハマったのがワン・ライン・バンド。SHŌGUNに進化していくプロセスはそこから始まった。

今回のリイシューは実に11年ぶり2度目。初CD化だった前回は、ヴィヴィド発信の我が【Light Mellow's Choice】シリーズでの復刻だった。更に振り返ると、01年に『SHŌGUN COMPLETE』の解説用に取材させてもらったのが、藤丸さんとカナザワの初対面。なんやかんやと もう15年以上の付き合いになるなんて、ちょっとビックリ〜