昨年の11月に亡くなったレオン・ラッセルの遺作『ON A DISTANT SHORE〜彼方の浜辺で』が素晴らしい。エルトン・ジョンとの『THE UNION』(10年)、そして前作『LIFE JOURNEY』(14年)と充実作が続いていたが、今作はそれに輪を掛けるほどの傑作。完成したのは16年半ばで、7月の心臓発作〜手術〜退院後も、本作のミックスのチェックに熱を入れていたという。
最初にこのアルバムを聴いたのがクルマを運転しながらで、その前にはデータや曲目リストをロクに見ていなかった。つまり予備知識なくストレートに楽曲を聴いたものだから、次々に疑問が湧いてくる。しかもクルマは既に首都高速へ入っていて、解説やクレジットに目を通すことはできない。「コレ、オーケストラを従えてのスタンダード集なの?」「プロデュースはトミー・リピューマ?」「スタンダード集にしちゃ、知ってる曲が出てこないな」「あれ、<This Masquerade>演ってる! やっぱりリピューマの制作か?」 な〜んて、あらぬ妄想が広がってしまった。
先に正確なところを伝えておくと、これは書き下ろしの新曲を中心にしたオリジナル楽曲集で、<This Masquerade>と<Hummingbird>、<A Song For You>という代表曲3曲のセルフ・カヴァーを加えたもの。レオンは今作のアレンジを手掛けたラリー・ホールの仕事を大層気に入り、アメリカン・スタンダードを思わせる彼のオーケストラ・アレンジにインスパイアされて、アルバム全体をそうした色彩で包むように画策した。プロデュースは、近年のレオン作品で重要なパートナーぶりを発揮していたマーク・ランバートである。
ところがブックレットを読むと、セルフ・カヴァー3曲は、何と旧友であるトミー・リピューマのバースデイ・パーティで歌ってほしいと依頼され、その時のバンドの練習用に用意したデモ録音が大元だとか。だがそのアレンジと新曲との相性がバッチリ!ということで、それをアルバム用に仕上げたそうだ。わぉ、カナザワの直感は半分当たっていたのだ。
でも実際は、そのサウンド、特にオーケストラの音が妙に臨場感たっぷりで生々しいから、リピューマ作品とするには違和感がある。妙にブルージーだったり、ニューオリンズしている楽曲もあるから、リピューマではないと分かるのだ。でも彼は昔からリオン楽曲を高く評価し、子飼いのシンガーたちにドンドン歌わせていた事実も。ベンソンやアル・ジャロウはまさにそうだし、マイケル・フランクスも自作曲の歌詞の中に、「レオンのレコードがクルクル回っている」なんて一節を歌い込んだ。ブルー・サム時代のリピューマがデイヴ・メイスンやダン・ヒックスを召し抱えたのも、レオンとの共通項を感じる。
それから約40年。当時から老獪なシワガレ声だったリオンの歌は、今もほとんど歳をとっていない。対してリピューマが手掛けたポール・マッカートニーのスタンダード集あたりでは、どうしても歌声に年齢が表れてしまう。そんなところにも、リオンの凄さを感じてしまうな。
先に正確なところを伝えておくと、これは書き下ろしの新曲を中心にしたオリジナル楽曲集で、<This Masquerade>と<Hummingbird>、<A Song For You>という代表曲3曲のセルフ・カヴァーを加えたもの。レオンは今作のアレンジを手掛けたラリー・ホールの仕事を大層気に入り、アメリカン・スタンダードを思わせる彼のオーケストラ・アレンジにインスパイアされて、アルバム全体をそうした色彩で包むように画策した。プロデュースは、近年のレオン作品で重要なパートナーぶりを発揮していたマーク・ランバートである。
ところがブックレットを読むと、セルフ・カヴァー3曲は、何と旧友であるトミー・リピューマのバースデイ・パーティで歌ってほしいと依頼され、その時のバンドの練習用に用意したデモ録音が大元だとか。だがそのアレンジと新曲との相性がバッチリ!ということで、それをアルバム用に仕上げたそうだ。わぉ、カナザワの直感は半分当たっていたのだ。
でも実際は、そのサウンド、特にオーケストラの音が妙に臨場感たっぷりで生々しいから、リピューマ作品とするには違和感がある。妙にブルージーだったり、ニューオリンズしている楽曲もあるから、リピューマではないと分かるのだ。でも彼は昔からリオン楽曲を高く評価し、子飼いのシンガーたちにドンドン歌わせていた事実も。ベンソンやアル・ジャロウはまさにそうだし、マイケル・フランクスも自作曲の歌詞の中に、「レオンのレコードがクルクル回っている」なんて一節を歌い込んだ。ブルー・サム時代のリピューマがデイヴ・メイスンやダン・ヒックスを召し抱えたのも、レオンとの共通項を感じる。
それから約40年。当時から老獪なシワガレ声だったリオンの歌は、今もほとんど歳をとっていない。対してリピューマが手掛けたポール・マッカートニーのスタンダード集あたりでは、どうしても歌声に年齢が表れてしまう。そんなところにも、リオンの凄さを感じてしまうな。
もはやこの年代の音楽は、リリースの情報が無いもので
こちらで扱って頂くことで、なんとか逃さずに済みました。
本作でのリオン・ラッセルの歌声には艶があり、
まさか早世されるとは思いもよらない快活さですね。
冒頭からポップな新曲で始まり、いずれも
オトナのポップスで、素敵なアルバムです。
Sweet Valentineはまるで演歌そのものの
アレンジで驚きましたが。
ラストのA Song For Youは、なんとまぁ
ソフトな歌い回しになっていて、これも意外でした。
永年、リオンの硬質な歌唱スタイルを完コピして
歌ってましたもので、新たな研究課題になりました。