Tim Treffers Carnival of life albumcover
オトナの次世代ポップ・シーンを担うオランダの若きシンガー・ソングライター;ティム・トレファーズ。我が Light Mellow Searches から『NEVER TRUST A MAN IN A FUR COAT』で日本デビューを果たした彼が、1年を待たずして早くも2ndアルバムを完成させた。

「ファースト・アルバムを出した時の僕は、まだ作曲やパフォーマンスの経験が乏しかった。この2年間はまるでジェットコースターみたいだったよ。音楽面で色々なことが起きたし、たくさんのラジオ出演やインタビュー、今年はオランダで大きなツアーもやったんだ。秋にはクラブ・ツアーもね。そのお陰で僕は声の使い方をシッカリ学べたし、シンガー・ソングライターとしても成長した。前作のレビューや評判が好意的だったから、セカンドも早く出したいと思っていたよ」

幸いにして、ティム・ヴァーミューレンやエリック・ヴァン・デン・ブリンクと組んでいる制作チームには、たくさんの新曲の素材がストックされていた。だからすぐにレコーディングに入ることができ、約1ヶ月で集中的に作業が進んだそうだ。その音をティムの言葉で表すと、“超80's”。70'sの音楽にインスパイアされたヴィンテージ ・サウンドを中心にした前作と比べ、今作は80’sのモダニズムに満ちている。

「少し実験的で、ポップスやソウル、ジャズ、そしてエレクトロニック・ミュージックさえもブレンドしている。シンセサイザーやヴォコーダーも多用したよ」

前作ではエリック・タッグの楽曲をカヴァーしてAOR世代を喜ばせたが、今回はマイケル・フランクス<Monkey See - Monkey Do>、ジミー・ウェッブがアート・ガーファンクルに提供した<Another Lullaby>の2曲を取り上げている。

「マイケルは僕のフェイヴァリット・ジャズ・シンガーのひとり。彼のレコードは全部持っているよ。『ONE BAD HABIT(N.Y.ストーリー)』(80年)と『OBJECTS OF DESIRE(愛のオブジェ)』(82年) が個人的ハイライトさ。だから彼の曲はすべてカヴァーしたいくらい。実は僕が初めてこの曲を耳にしたのは、メリサ・マンチェスターのヴァージョン(76年作『HELP IS ON THE WAY(愛の道標)』に収録)で、マイケルのオリジナルを知ったのはその後だった。でもこの曲の持つヴァイブスと隠喩めいた歌詞、ジャジーなアレンジが大好きなんだ」

なるほど、オリジナルよりずいぶんグルーヴィーな仕上がりなのは、メリサ版を意識したからか。<Another Lullaby>はオランダの女性シンガーが歌うヴァージョンを聴いて好きになり、後からアートのヴァージョンを知った。それ以来、いつかレコーディングしたいと思ってきたという。

実は日本贔屓で、前作発表後、ガールフレンドと一緒に来日し、2週間滞在して東京と鎌倉、京都を観て回った。

「日本は本当に大好きだよ。モダンでハイテクなライフ・スタイルと、自然や伝統が完璧に融合された美しい国だ。すべて気に入ったよ。今度はもっといろんなところを見てみたいし、日本で小さなツアーもやってみたいな」

次世代AORの注目株として、ますます目が離せないティム・トレファーズ。是非チェックを。