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まだ引き続きで、【ADLIB presents ビクター和フュージョン30W】再発シリーズ 10月25日発売分から、カナザワ解説分をご紹介。今回発売分の中では一番真っ当なフュージョン・アルバムながら、この劇画調イラストが示す通り、ちょいとクセあり。でもその辺りの濃ゆいトコロが、山岸潤史を山岸潤史たらしめている所以でもあるのだ。

この『REALLY?!』は、79年にビクター/FLYING DOGからリリースされた山岸のファースト・リーダー作。かの伝説的セッション・アルバム『GUITAR WORK SHOP』の初回作が77年スタートで、そこに渡辺香津美、大村憲司、森園勝敏に肩を並べる形でフィーチャーされたのが、この山岸だった。ウエストロード・ブルース・バンドやソー・バッド・レヴューなど関西のバンドで活躍。程よくドロ臭さを持ったギター・プレイが人気を得ていて、むしろ遅すぎるほどのソロ・デビューであった。

 「リアリー?! ほんまか?! やった!」

そんな帯キャッチもハマっていたし、感情ムキ出しの表情が、彼のエモーショナルなプレイ、ブルース寄りの音楽性にもピタリ、マッチした。変に気取っていればド突かれる、そんなナニワの流儀である。

参加メンバーは、『GUITAR WORK SHOP』の山岸楽曲とほぼ同じ。すなわち、ジョニー吉長/村上ポンタ秀一/上原裕(ds)、鳴瀬喜博/小原礼/田中章弘(b)、国府輝幸/難波弘之/緒方泰男(kyd)、ペッカー/マック清水(perc)、ホーン・スペクトラム、金子マリ/亀淵友香/上村かをる(cho)らだ。特にバックスバニーの面々はギター以外全員参加で、彼らが誰とタッグを組むかで微妙に音を変えている。ゲストに迎えたのは、インド生まれの英国人ギタリスト:ゲイリー・ボイル。ブライアン・オーガーのトリニティやツトム・ヤマシタのイースト・ウインド、自身のジャズ・ロック・バンド:アイソトープで活躍した技巧派で、77年からソロ。当時はポスト・ジェフ・ベック候補に見なされ、結構注目を浴びていた。もっともプレイ自体はジェフというより、アラン・ホールズワースやジョン・エサリッジといったソフト・マシーン勢に近いかな? なるほど2人のインタープレイはなかなかスリリングで、ボイルがジャジーなフレーズと速いパッセージで攻めれば、山岸はブルース・ベースの大きなフレーズで呼応している。

次作『ALL THE SAME』(80年)は、ファンク・バンド:MYX(ミクス)を立ち上げたバランスもあってか、よりピュアなフュージョン作品になった。でもそれだと少々スムーズに過ぎるというか、“らしさ” が乏しい感じ。やっぱり山岸のオッサンは、ブルースやR&Bテイストをこってり残し、少し脂っこく迫ってほしい。その意味で本作『REALLY?!』は、フュージョン作ながら、よりリアルな山岸が感じられるのだ。