mtume_juicy fruit

引き続き【ソニー・クロスオーヴァー&フュージョン・コレクション1000】のラインアップから、今日発売分である エムトゥーメイ『JUICY FRUITE』を。

えっ、ちょっと待った!

クロスオーヴァー&フュージョンでエムトゥーメイ? ソウル/R&Bのシリーズではなく!??? 確かに首謀者ジェームス・エムトゥーメイがマイルス・デイヴィス・グループ出身なのは有名だけれど、アルバムはよりによって『JUICY FRUITE』だし〜 

振り返れば、ジェイムス・エムトゥーメイの実質的初ソロ作であるエムトゥーメイ・ウモジャ・アンサンブル名義のストラタ・イースト発72年作、そして77年にサード・ストリートから出した74年録音作、そのどちらもがスピリチュアルなブラック・ジャズ作品である。その後マイルス・グループで『AGHARTA』や『PANGAEA』に呪術的グルーヴを提供。タワサ(vo)、マイルス時代の盟友レジー・ルーカス(g)らと組んだ6人組 “エムトゥーメイ” では、P-ファンクとアース・ウインド&ファイアーをミックスさせたの如きスタイルで、『KISS THIS WORLD GOODBYE』(78年)、『IN SEARCH OF THE RAINBOW SEEKERS』(80年)を発表した。その辺りなら、まだクロスオーヴァー/フュージョンでも納得だが、今回の復刻は、とことんストイックに音数を減らし、なおかつ、来たるべきエレクトロ・ファンクの時代に先鞭をつけた『JUICY FRUITE』なのだ。

でもこの媚薬的なグルーヴは、音数勝負的なトコロがあるR&B系ミュージシャンには生み出せなかったモノかもしれない。スピリチュアル・ジャズ体験が豊富な、ジェームスならではの発想から来るモノなのだ。音楽的には、タワサの肉感的ヴォーカルを最大限に艶めかしく官能的に響かせたい、そのための創意工夫が、こうした思い切りの良い音を創らせた。まさに唯一無二。ひとりだけ比べ得るとすれば、ヒップホップに市民権を与えたハービー・ハンコック『ROCK IT』になるか。もちろん今シリーズでは、そちらもキッチリ選出。ロバート・グラスパーやカマシ・ワシントンあたりが人気の今だからこそ、フュージョンだR&Bだ、とジャンルにこだわらずアタマを柔らかにして、意識を改めるべし!。既成概念に捕らわれすぎると、コンサバでツマらないオトナになっちゃうよ

ゲスト陣には、昨年逝ったP・ファンク重鎮バーニー・ウォーレル(kyd)や、エムトゥーメイ&ルーカスでプロデュースしたサックス奏者ゲイリー・バーツのほか、始動間もないザ・システムのデヴィッド・フランク&ミック・マーフィーやバリー・イーストモンドなど、後に制作手腕を発揮する面々が。このマジカルな現場に居合わせたことが、彼らの意識に何らかのヒントを与えたのは間違いない。フレッド・ジャクソンとは、おそらくクワイエット・ストーム系シンガーのフレディ・ジャクソンだろう。そしてエムトゥーメイの影響は、ジミー・ジャム&テリー・ルイスやL.A.&ベイビーフェイス、あるいはテディ・ライリーを始めとするニュージャック勢など、R&Bシーンを牽引した後続たちに引き継がれていく。