sergio mendes_love music

まだまだ続く【ソニー・クロスオーヴァー&フュージョン・コレクション1000】のラインアップから、カナザワのライナー執筆ネタを。しかし8日発売分がジョージ・デュークにハーヴィー・メイソンとそれっぽかったのに、29日発売分は、ケニーG以外はちょっと異色系多し。チョコレート・ジャム・カンパニーはまだしも、エムトゥーメイにベン・シドラン、そしてこのセル・メンだからね。ま、それもカナザワらしい、といえばそうなのか… ちなみにこのアルバム、初CD化も拙監修によるモノだったので、紙ジャケ化、そして今回の廉価復刻と、3回目の解説執筆になる。

この『LOVE MUSIC』は、73年に“セルジオ・メンデス&ブラジル'77”名義で発表されたアルバムで、後にアリスタの母体となる新興ベル・レコードで作った、A&M離脱後最初の作品。ココでのブラジル'77の顔ぶれは、グラシーニャ・レポラーセ(vo)、オスカル・カストロ・ネヴィス(g)、セバスチャン・ネト(b)、クラウディオ・スロン(ds)、ラウジール・ジ・オリヴェイラ(perc)の5人に、キュートな歌声のボニー・ボーデン(vo) と、後にL.A.スタジオ・シーンのトップ・パーカッション奏者になるポウリーニョ・ダ・コスタ(perc)が新加入。このあと間もなくシカゴに加入するラウジール(今年9月17日没)とポウリーニョのツイン・パーカッションは相当に豪華だ。

プロデューサーがフィフス・ディメンションやアソシエイションを手掛けたボーンズ・ハウということで、内容はボサノヴァではなくクロスオーヴァー・ポップ。収録曲にも、ロバータ・フラックの世紀の名曲<やさしく歌って>(73年・5週連続No.1)、彼女とダニー・ハサウェイのデュエット<Where Is The Love>(72年・全米5位)、同時期にヒットしたジョニー・ナッシュ<I Can See Clearly Now>(72年・4週No.1)、そしてジェームス・テイラー<Don't Let Me Be Lonely Tonight(寂しい夜)>(73年・14位)が素早く選ばれている。カーペンターズ<愛は夢の中に>なんて、アルバム『A SONG FOR YOU(トップ・オブ・ザ・ワールド)』に収録されてから2年たっても、まだシングル・カットされていなかった。この曲のヒットは、セルジオがカヴァーした翌年である74年春(全米11位)。まさにセルジオの慧眼ココにあり、である。

他にも、ダンヒル・サウンドの一翼を担ったデニス・ランバート&ブライアン・ポッター楽曲が3曲。バート・バカラック&ハル・デヴィッドがディオンヌ・ワーウィックに提供したものが1曲。そのリメイクも少なくない。まさに “LOVE MUSIC” というタイトルに相応しい作品なのだ。

近年はほぼ毎年ジャパン・ツアーをやってくれている御ん歳76のセルジオ。聞くところでは、彼のキャリアや功績を追ったドキュメンタリー映画が撮られているそうだ。