tazz_still night

まさに待望。TAZZ こと豊島たづみのオリジナル・アルバム・リイシューがようやくスタートした。2年前『Light Mellow 豊島たづみ』をコンパイルした時にも再発企画は出ていたが、この時はMEG-CD(インディ・レーベルによるCD-R再発)が発売さればかりというタイミングで、結局コンピのみで収束。それが今回、デビュー40周年に絡めて別ルートでの復刻となった。まず最初にリイシューされたのは、77年の1st『ちぎれ雲』と企画色の強かった2nd『とまどいトワイライト』の2in1、そして79年の3作目『STILL NIGHT』(上掲)の2枚。後者は拙監修のディスクガイド『Light Mellow 和モノ special』にも掲載した、代表作と言われるアルバムである。

アルバム『STILL NIGHT』は、TAZZ嬢自身が「自分のベストと自負」している、名実ともに最高傑作。大ヒット曲<とまどいトワイライト>から、半ば中島みゆき的イメージを抱かれた彼女だが、それに一番戸惑っていたのは、他ならぬ TAZZ嬢だ。そりゃー確かに、太陽が燦々と降り注ぐような明るいポップスを歌う人ではない。でも一方で早くからマイケル・フランクス<アントニオの唄>をカヴァーしていたように、優れた洋楽的センスを持ち合わせているシンガー・ソングライターだった。それを初めてシッカリ表現できたのが、この『STILL NIGHT』であった。

アレンジは劇伴や歌謡曲に強い川村栄二。当時はまだ新進で、南沙織の仕事で注目され始めた頃だ。1曲<行き暮れて>のみ、故・大村雅討諒垓福参加ミュージシャンもなかなか豪華で、土方隆行/松原正樹/中牟礼貞則(g)、富倉安生/岡沢茂(b)、富樫春生/江夏健二/信田一男(kyd)、宮崎まさひろ/市原康(ds)、ペッカー(perc)、松下誠(back-vo)らが名を連ねる。それだけ音楽的にクオリティの高いことを演っているし、昨今のシティ・ポップス再評価に照らしても充分通用。実際、Light Mellow的イチ押し曲<夜もすがら>をDJイベントで回すと、若い世代の音楽ファンから「おぉーっ」と歓声が上がるのも経験している。前述『Light Mellow 豊島たづみ』にも、この<夜もすがら>と<行き暮れて>のほか、<潮騒がひびくころ>、<海が見たい>、<波間>と海関連3曲をココからピックアップした。だからコレを、リアルタイムでTAZZ嬢を知るロートル・ファンだけの慰みモノにしてはイケない、と思う。

なお本編には、シングル曲<ミッドナイト・ブルー>を追加収録。ディスク2のボーナス・ディスクは、いわゆるカラオケ。後続作の復刻も来年予定され、ご本人も新作準備中だそうです