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ジミー・ウェッブが82年に発表したAOR名盤『ANGEL HEART』の35周年記念エキスパンデッド・エディションがリリースされた。オリジナル盤に3曲の未発表テイク、3曲のデモ音源を追加した6曲プラスの仕様である。実は昨年、本作のプロデューサーであるフレッド・モーリンから直々にこの企画を持ち込まれたのだが、その時は既に昨年のAOR CITYシリーズでの廉価再発プランが動いていて、実現はしなかった。それが今回、米Real Gone Musicからメデタく再発されたのである。

このアルバム、発売は82年だが、実際のレコーディングは78年。元々は当時のレーベル:20th Century Foxのために制作されるはずだった。ところがスタジオ入り直前にレーベル・トップが突如解任。制作は宙に浮いてしまった。が、スタジオやミュージシャンは既にブッキング済み。そこでジミーは自己資金を投入して、予定通りにレコーディングを決行。それが世に出たのが82年、という秘話だった。

この一連の裏事情が明らかになったのが、7年前の紙ジャケ再発で。ライナー担当だった自分が付き合いのあったフレッド・モーリンにメール取材を依頼し、そのレスポンスの中で明らかになったのだ。でもその時は、こんな未発表音源があることは、まったく知らされていなかった。

今回、特に注目したいのは、<Driftwood>と<High Rent Ghetto>、<Adios>の3曲。『ANGEL HEART』をご存知ならピ〜ンとくると思うが、このアルバムのセッションは、ジェフ・ポーカロ(ds)、リー・スカラー(b)、デヴィッド・ペイチ(pf)、スティーヴ・ルカサー(g)、ディーン・パークス/フレッド・タケット(ac.g)、ヴィクター・フェルドマン(vib)など、かなりの豪華メンバーによって録られている。その時のアウトテイクが、この3曲だ。アルバムでは曲によってデヴィッド・フォスターも参加しているが、さすがに上記3曲に彼の名前ははない。でもリンダ・ロンシュタットが『CRY LIKE A RAINSTORM』(89年)で歌って有名になった<Adios>が、早くも78年のジミーのセッションで録られていたとは。いずれもバラードなので穏やかな作りだけど、妹スーザン・ウェッブ(cho)が参加した<High Rent Ghetto>は、お蔵入りがもったいないと思えるほど美味。残り3曲のデモ音源はピアノの弾き語りで、本編収録の<One If The Few>と<In Cars>が含まれる。

TOTO勢のプレイに期待して拡大盤を買うとコケるものの、ジミー・ファンはもちろん、<Adios>に反応する人は要チェック。