chasin 80s

これはこれは超待望の書。現在はweb上で展開しているBMR(Black Musiv Review)誌の名企画『Chasin' the 80s Classics』(JAM著)が、とうとう書籍化されたのだ。連載期間は97年から最終刊の11年まで、丸14年間以上。BMRがまだ小さい判型からの人気連載だった。自分は真っ当な黒人音楽愛好家ではないので、この連載と新譜紹介だけを目的に、毎月BMRを購読していた時期があった。自分が業界入りし、JAM氏とお付き合いが生まれてからは、ご本人や当時のブルース・インターアクションズ編集部(現スペース・シャワー・ブックス)関係者に、“『Chasin' the 80s Classics』を本にまとめて〜” と懇願していた。それが今ようやく…。拙監修のブラコン本も時々 “出し直して” という声を戴くけど、やっぱりブギー・ブームの影響はデカイですね。
掲載内容は、必要最低限のデータ修正がある程度で、文章は基本そのまま。ゆえに執筆当時の時代背景、シーンの動向などが窺えて、大変面白い。当時を知る自分でも、「そーだったなぁ〜」と思う場面が少なくないのだ。でもディスコ・クラシックに群がるエルダー・リスナーとは違って、80'sのクリエイターを扱ってても懐メロ感覚がないのは、さすがJAMさんであり、BMRワークスだと思う。その視点が70年代や90年代以降に移っても、斬り口にブレがないのだ。

またフリーソウル〜レア・グルーヴのムーヴメント以降、カタログ文化の扱い方、掘り出し方が激変したことも改めて。おそらくそれを機に登場した洋楽やブラック・ミュージック系ライターは、こうした目線で重量級のプロデューサー名鑑を作ることは不可能だろう。配信やストリーミングで音楽を広く聴くことは否定しないし、使い方次第で極めて有効になるけど、楽曲データや制作陣の概要はやっぱりフィジカルでないと分からない。そしてその指南書になり得るのは、やっぱりこうして丁寧に作られたガイド本の類なのだと思う。

先日、とあるイベントでJAMさんにお会いし、「遂に出るんですね」とお祝いを言ったら、「いやぁ、ナラダの時にはお世話になっちゃって」と言われ…。コレを見て、“そうか、情報提供したんだっけ…” と思い出した次第。

にしてにも、当時の黒人音楽を深く紐解くには格好の書。こういう本をジックリ読みながら音を聴いていると、どんどん世界が無限大に広がっていく。便利に聴くだけの音楽は、そのまま右から左へ流れていくだけで、何も残らない。

かくいう自分も大いに手引きにさせて戴きつつ、まだまだカタログ文化に貢献したい!と、思いを新たにしましたわ。